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2025年3月21日(金)。寒さも和らぎはじめ、春の気配を感じられる穏やかな日の夕刻。東京・麻布台ヒルズのブランド・ストア『FREUDE by BMW』にて、ピアニスト 反田恭平氏をお招きしての特別なコンサートが行われました。
日本独自に展開される新たなプロジェクト「BMW BELIEVES」の記念すべきオープニング・イベントとして開催された、甘美なる一夜の模様をレポートいたします。
SPECIAL MOVIE
BMW BELIEVES
その歓びは、いつだって新しい。
BMWは長きにわたり、グループ全体で芸術および文化振興のためのさまざまな活動に積極的に取り組んできました。これまで実現したプロジェクトの数は全世界で優に100を超え、多様なパートナーとのコラボレーションが生むユニークな体験や出会いによって、交流、革新、創造の新たな機会をもたらしてきました。
今回、日本における芸術や文化、スポーツの発展をさらに推し進めるために開始された新たなプロジェクト「BMW BELIEVES」。
“人生に、駆けぬける歓びを。”というコンセプトのもと、BMW Japanではクラシック音楽とゴルフ、そしてモータースポーツの分野を中心に継続的なサポートを行い、さらなる発展に向けてともに歩んでゆきます。
EVENT REPORT
期待渦巻く、静寂と熱気。
長くなり始めた陽も傾き、街に煌めきが灯りだす頃。東京・麻布台ヒルズの一角にある『FREUDE by BMW』は、いつもとは異なる静寂と熱気に包まれていました。普段BMWの最新モデルが展示されているスペースには、一台のグランド・ピアノ。そう、今宵はブランド・フレンドである世界的ピアニスト、反田恭平氏による特別なコンサートが行われるのです。
レセプションにはゲストが次々と到着。開演時間が迫るにつれ、そこに集う人々の期待が加速度的に膨らんでゆくのが感じられます。
午後6時30分、待望の開演。まずは主催者を代表して、BMW Japan ブランド・コミュニケーション・マネジャーの井上朋子よりゲストの皆様へオープニングのご挨拶。『FREUDE by BMW』の紹介、そして本公演より幕を開ける新プロジェクト「BMW BELIEVES」の概要についても語られました。

この日のための、特別なプログラム。
そして本日の主役である、BMWブランド・フレンドの反田恭平氏が盛大な拍手に迎えられて登場。
演奏前のトーク・セッションでは「BMW BELIEVES」という新たなプロジェクトに対して大きな期待の言葉を頂戴するとともに、ブランド・フレンドとしての活動を振り返るなかで明かされるエピソードや、BMWとともに過ごす現在のリアルな日々など、時折ユーモアを交えながらのトークに、誰もが心を引き込まれます。

そして話題は、今夜のプログラムに関する内容へ。今回の演奏予定時間は1時間ほどと、通常のクラシック公演の半分ほどの時間。しかしただ演目を削るのではなく、その構成にあたっては巧緻な配慮が為されているようです。「お忙しい方、2時間耐えられないという方に向けて、今日は“ここだけは聞いてほしい!”というところを押さえてきました」とは反田氏のコメント。笑顔を誘いつつ、しかしそこに込められたゲスト、そして音楽への真摯な想いがあふれます。
鮮烈な音色とともに、空間は珠玉のホールへと変わる。
初手を飾るのは、ムソルグスキーの『展覧会の絵』。BMWの最新モデルが展示される『FREUDE by BMW』でのコンサート、ということから“展覧会”を着想し選んだというこの曲は、組曲全体で35分ほどあるものを15分ほどに凝縮したスペシャル・バージョンで披露されます。反田氏がピアノの前へと座り、厳かに演奏が始まりました。
曲の舞台として描かれるのは、ムソルグスキーの亡き友ハルトマンの遺作展。展覧会の会場入口から作品に到達するまでの感情を描く荘重な「プロムナード」から、最初の絵に描かれた大地の精霊のような存在を巧みに表現する「小人」へ。思いもよらない展開とそれに続く感傷的な旋律が、ムソルグスキーの心象風景のごとく、聞くものを翻弄します。

続いては「卵の殻をつけた雛の踊り」「バーバ・ヤガー」そして「キエフの大門」の3曲。こちらも、演奏前にそれぞれの曲が表現する絵についての解説が挟まれます。反田氏の口から語られる作品の世界。それが、この後の旋律によりさらに大きく広がってゆくことになります。
純粋無垢に飛び跳ねるような「卵の殻をつけた雛の踊り」から、スラブ民話に登場する妖婆「バーバ・ヤガー」を描いた美しくもおどろおどろしいメロディ、そして勇壮な「キエフの大門」へ。息を呑むほどの演奏により、この日がちょうど誕生日だったというムソルグスキーの名品が情感豊かに表現され、会場からは大きな拍手が贈られます。
間近で生み出される芸術を、全身で感じる至福の時間。
次なる曲は、リストの『伝説』より「水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ S.175 R.17」。荒れた海を鎮めながら、その上を颯爽と進んでゆく聖人。その奇跡のシーンがBMWの「駆けぬける歓び」のイメージと相まって、今回のプログラム作成にあたってまず最初に決まったというこの曲。
小さな波がやがて大きなうねりとなり、そしてまた静かな水面へと還ってゆくように旋律が紡がれてゆきます。目の前にあるのがピアノ一台であることを忘れ、背後でオーケストラが演奏しているような錯覚を覚えるほどに、多様で幾重にも厚みのある音が奏でられる圧巻の演奏。見たことがないはずの情景や、感じたことがないはずの感情が、音色を介して聴く者の胸に沁みわたってゆきます。

コンサートはいよいよ終盤。第18回ショパン国際ピアノ・コンクールにおいて披露した「ラルゴ」と、“この曲をどういう風に弾くのか知りたくて、ポーランドへと留学した”と語る「英雄ポロネーズ」。反田氏にとって特に思い入れの深い2曲が、プログラムを締めくくります。
心をとらえて離さない美しき調べ。演奏が進むにつれ感情があふれ、会場はその熱にほだされながら、押し寄せる幾度もの感動に身を委ねます。





公演終了後も、歓びにあふれた時間は続く。
「英雄ポロネーズ」を弾き終えると、ゲストたちからはやむことのない万雷の拍手が贈られます。その賛辞に応えるべく、そして“最後にはドイツの作品を”ということで反田氏がアンコールに選んだのは、シューマン/リストの「献呈」。愛する人へ捧げる、清廉でドラマティックな作品により、和やかな充足感をもって公演はその幕を閉じました。
公演終了後には『FREUDE by BMW』内の「CAFÉ & BAR B」によってドリンクとフィンガー・フードが用意され、反田氏を交えたミート&グリートを開催。反田氏とゲストの皆様は、リラックスした雰囲気のなかで交流を深められていました。また一緒に来場されていた数名のお子さまも、世界的ピアニストとのコミュニケーションを積極的に愉しんでいる模様でした。
演奏の間に、曲にまつわるトークを交えて進むという特別な形式で行われた今回のコンサート。反田氏からは「普段なかなかこういう機会はないけれど、2021年から4年を超えてブランド・フレンドを続けている、BMWとの積み重ねられた関係があるからこそ」という嬉しいお言葉もいただきました。
BMW Japanでは、今回よりスタートした「BMW BELIEVES」プロジェクトのもと、クラシック音楽をはじめとした文化振興のために、今まで以上のさまざまな支援活動に取り組んでゆきます。
PROFILE
プロフィール

反田恭平(ピアノ/指揮)
Kyohei Sorita, piano & conductor
2021年、第18回ショパン国際ピアノコンクールにおいて、日本人としては実に半世紀ぶりとなる第2位を受賞。
2020年のコロナ禍ではいち早くストリーミング配信を行うほか、若手の音楽家とファンを繋ぐ音楽サロン「Solistiade」も運営している。F.ショパン国立音楽大学(旧ワルシャワ音楽院)研究科修了。現在はウィーンを拠点に活動を続け、海外での公演に数多く出演。2024年5月にはザルツブルクにて指揮者としてのデビューも果たしている。
米フォーブス誌の『Forbes 30 Under 30 Asia Class of 2024』に選出された。