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金工鍛金家・奥山峰石氏が語るBMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION”。意匠、技術、美意識のすべて。

金工鍛金家・奥山峰石氏が語るBMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION”。意匠、技術、美意識のすべて。

記事を読むのに必要な時間:約7分
BMWが誇る先進性と技術、美意識が日本の伝統工芸に強い共鳴し、生まれたラグジュアリー・セダン、BMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION”。奥山峰石氏は長きにわたる作家生活で初めとなるこの試みと、どのように向き合い、何を生み出したのでしょうか。

2020/12/24

BMWと日本の名匠プロジェクト

世界をリードする最先端のテクノロジーと妥協なき美意識を融合し、特別な一台を創るBMWの革新的プロジェクト。第二弾は、BMW 7シリーズと、日本を代表する金工作家の奥山峰石氏(重要無形文化財保持者)の珠玉のコラボレーションです。

晩秋の湖畔で行われたBMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION”の車両撮影。この貴重な一台を目にし、奥山峰石氏は喜びに瞳を輝かせました。

車両撮影、奥山峰石氏

奥山氏は1937年山形県生まれ。中学校を卒業後、東京都文京区にある杉林美術銀器製作所に住み込みで就職しました。1964年には職人として同製作所から独立し、40歳から創作鍛金家の道を歩み始めます。以来毎年展覧会に出展し美術工芸作家としての地盤を確固たるものとし、1995年に重要無形文化財「鍛金」保持者(人間国宝)に認定されるに至りました。

氏の作品は、切嵌(きりばめ)象嵌、打ち込み象嵌というふたつの技法における圧倒的な技術と、このふたつの手法により生み出される豊かな自然の描写において高く評価されています。そして氏が認定を受けている重要無形文化財保持者とは「演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いもの」、人間の「わざ」そのものを体現・体得した個人に対し認定されるものです。工芸技術の部における保持者は60名に満たず(令和元年12月1日現在)、氏の技術がどれほどまでに高い評価を受けているかがこの事実からもうかがえます。

奥山峰石氏

究極の一台にふさわしい「わざ」と美を。その想いを捧げるプロジェクトに向き合うことが決まり、氏は喜ばしさと、同時に大きな困難を感じたと言います。

「車両の一部となるものですから、何よりも安全性を担保しなければいけません。そのためには確実に接着できるよう、完璧にフロント、前後左右のドアにフィットする形状にする必要があります。しかしその型があるわけではないので、とても細かい調整を積み重ねながら木材を削り出し、ゼロから形を作り出しました。そしてもう一つ苦労したのは、デザインです。これまで手がけてきた器物とは全く異なる形状、しかも横に細長い面に模様を描き出すということも全く初めての試みでしたので、どのような意匠がふさわしいか非常に悩みました」

そして選ばれたのは、枝垂れ桜の意匠。日本三大桜に数えられる福島県の三春滝桜の枝を、銀の地金に赤銅(しゃくどう)で表現した模様です。まさしくアネット・バウマイスターが語った、日本固有の”引き算の美学”を描き出したような、花のない桜の枝。そしてその花は、特別なギフトとして購入者に贈られるワインカップに描かれているという粋な演出が施されています。

「作品を作るときに最も難しいのはデザイン。デザインが終われば3割はできたようなものです。作業自体はこれだけ長い期間、ずっと制作を続けていますから、手が自然に動くのです」

氏はこう語りますが、その作業工程も大変繊細で、高い技術を要するものです。緻密に構成された枝垂れ桜の枝を赤銅に写し取り、糸鋸で切り出すとともに、全く同じ模様を地金となる銀板に写し切り出します。この地金に先の赤銅を嵌め込み、金槌で叩いて埋め込み、模様を仕上げていきます。金属は叩くと固くなるので、バーナーの炎をあて「焼き鈍し(やきなまし)」て柔らかくしながらまた叩き、また焼き鈍し、叩き…。この繰り返しを気が遠くなるほどの回数行い、模様と地金をなめらかに一体化させながら、インテリアトリムの形状に仕上げていきました。

インテリアトリム作業工程

「この仕事は、今も難しいと感じてはいます。その分、仕上がったときの感動はとても大きく、そして何十年と続けている原動力でもあります。固い金属を叩き、焼き鈍すという作業を果てしなく繰り返しながら理想通りの形を作り上げ、美しい模様を描き出すことができたと思っています」

インテリアトリム作業工程
奥山峰石氏

そして完成したBMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION” に乗り込み、奥山氏は満面の笑みを浮かべます。
「曲面も、エッジも、完璧に合っていて満足しました。一生懸命合わせた甲斐があります。枝垂れ桜の模様が美しく生えていて、インテリアとの調和も素晴らしいですね」

そしてピュア・メタル・シルバーのボディカラーに対しても
「まるで本物の金属と見まごうほどの立体感と艶、奥行き。とても密度の高い塗料を幾重にも塗り重ねてしか実現し得ないと思います。このような車は未だかつて見たことがありません。この車の一部として私の鍛金が内包されているとは。誇らしく、満足な思いでいっぱいです」
と奥山氏は語ります。

BMW 7シリーズ Pure Metal Edition インテリア

BMW 7シリーズ “PURE METAL EDITION”、BMWオンライン・ストアにて販売を開始。

日本の技とドイツのクラフトマンシップが響き合う、稀有なる個性。BMW 7シリーズ“PURE METAL EDITION”は1月29日(金) 午前11:00より、BMWオンライン・ストアにて販売開始いたします。

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