BMW 3シリーズ、 7つの世代を巡る旅。

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BMW 3シリーズは誕生以来7世代に渡り、それぞれの時代の精神を映し出してきました。2019年にデビューした第7世代、つまり最新世代の3シリーズもまた、新たなベンチマークを打ち立てる存在です。 1975年から現在に至るまで、このモデルが駆けぬけてきた時間と空間、そしてデザインの進化をたどる旅へ出かけてみましょう。

2020/7/22

多くのドライバーにとって、 BMW 3シリーズは究極のBMWであり、 ブランドの顔でもあります。
エイドリアン・ファン・ホーイドンク (BMWグループ・デザイン本部長)

第1世代

  • 製造期間: 1975年~1983年
  • 最高出力:55~105kW〔75~143ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン(2ドア)、カブリオレ(バウアー・トップ・カブリオ:以下バウアーTC)

1975年は映画「ジョーズ」が公開され、世界中の興行収入記録を塗り替える空前の大ヒットとなりました。若者たちはフレア・パンツと厚底靴を身にまとい、ミニスカートもまだ流行の最盛期でした。

ミュンヘンのオリンピック・スタジアムにおいて、最初のBMW 3シリーズ(かの有名なBMW02シリーズの後継として登場した2ドア・セダン)が世界に披露されました。スタイリングは、1970年から1974年までBMWのデザイン責任者であったポール・ブラックが手掛けています。他に比肩するもののない圧倒的なダイナミクスとスポーティな性能を備えたこの初代3シリーズ・セダンは、今日まで脈々と続くサクセス・ストーリーの原点となっています。

視線を奪う、リヤ・エンド

第1世代のBMW 3シリーズは、高めのテール・セクションとボディに沿ったプレス・ラインを持つ独特なスタイルで注目を集めました。しかし、リヤ・セクション、特にテールライトの間のデザインは誰からも好かれるというものではなかったため、デザイナーは生産開始からわずか1〜2カ月後にブラックのプラスチック・トリムをリヤに追加しています。

初代BMW 3シリーズでは、セダンの他に伝説的なバウアーTCも生産されました(1977年~1982年)。このモデルは、シュトゥットガルトに拠点を置くバウアー有限会社が、4,595台の3シリーズをロールオーバー・バーとサイド・ウインドーの上部フレームを特徴としたカブリオレに造り変えたものです。

スタンダードの確立

BMW 3シリーズには、のちにすべてのBMWモデルのスタンダードとなる、様々な新機軸が盛り込まれていました。ドライバー側に向けて設計されたインスツルメント・パネルも、これが始まりです。

その他、ショート・オーバーハング、ダブル・キドニー・グリル、ボディに沿ったキャラクター・ライン、一部モデルに採用されたツイン・ヘッドライトそしてCピラーのホフマイスター・キンクなどが、後の世代でもBMWのデザイン・アイコンとして受け継がれていきます。

第2世代

  • 製造期間:1982年~1994年
  • 最高出力:66~175kW〔90~238ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン(2ドア/4ドア)、カブリオレ、バウアーTC、ツーリング、M3(クーペ/カブリオレ)

1982年には、 留守番電話器、電子レンジ、そしてVCR(ビデオ・カセット・レコーダー)などの電化製品が一般家庭に普及し始めます。パックマンをはじめとするビデオ・ゲームが登場し大人気となり、音楽シーンでは「アイ・オブ・ザ・タイガー」のようなロックがヒット・チャートの1位を占めていました。

第2世代BMW 3シリーズの発表は、モロッコで行われました。1982年に2ドア・セダン、翌年9月には4ドア・セダンが発売されました。シリーズとしては、このセダンのデザインを基本とした全7モデルがラインアップされました。

また、第2世代のすべてのモデルには、やがて3シリーズ以降のデザイン・アイコンとしても受け継がれてゆくツイン・ヘッドライトが標準装備されました。

公道からレーストラックへ

セダン発表の2年後には、BMW 3シリーズ カブリオレと初のM3モデルがデビュー。そして、最大出力238psを誇るこのハイパフォーマンス・クーペによって、BMWはドイツ・ツーリング・カー選手権(DTM)への切符を手にします。モータースポーツ当局の規定をクリアした「ホモロゲーション(認証)」モデルとして、BMW M3のレース参戦が正式に認められたのです。

ガレージで生まれたツーリング

1987年にはBMW初のツーリング・モデルが3シリーズに加わりました。きっかけは、当時BMWのエンジニアであったマックス・ライスベックが家族でバカンスに行こうとしたところ、ノッチバック・デザインの3シリーズ・セダンのトランクではスペースが足りないと気づいたことでした。車体製造のスペシャリストだった彼は、Cピラーを切断して後方に移動。この時に造られたプロトタイプから、BMW史上初となるステーション・ワゴンが誕生したのです

第3世代

  • 製造期間:1990年~2000年
  • 最高出力:73~236 kW〔99~321ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン、クーペ、カブリオレ、バウアーTC、ツーリング、コンパクト、M3(セダン/クーペ/カブリオレ)

1990年代に入るとビッグ・シルエットのデニムやネルシャツが大流行。音楽ではバックストリート・ボーイズやニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのようなボーイズ・バンドが世界を席巻します。そして家庭に突如として現れたのが、モデムを使った“インターネット”です。90年代——   デジタルの時代へ、ようこそ!

第3世代のBMW 3シリーズは、これまでの歴史の中で最も顕著なデザイン的進化を遂げたモデルだと言えます。そのフォルムは、AピラーとCピラーを大きく傾斜させることでよりいっそうクーペ指向のデザインとなりました。なだらかに下降するルーフ・ラインやガラス・カバーの内側に備えられたツイン・ヘッドライトも、特筆すべきデザインのポイントです。

3シリーズの8つのバリエーション

第3世代では、セダン、クーペ、カブリオレ、ツーリング、コンパクト、そしてM3(セダン/クーペ/カブリオレ)とBMW 3シリーズ史上最も幅広いラインアップを誇っていました。

コンパクト・ハッチバック

中でもこれまでにない斬新な個性を備えていたのが、コンパクト・モデルです。この新たなボディ・タイプは、より小型な3ドア・ハッチバックとして1994年3月に発売されました。フロント・セクションは他のモデルと同じですが、リヤ・エンドには独特のデザインが施され、その結果クーペよりも全長が22.5センチ短いボディ・サイズを実現しています。このBMW 3シリーズ・コンパクトは瞬く間に好評を博し、セダン、クーペに次ぐ3番目のセールスを記録するモデルとなりました。

第4世代

  • 製造期間:1997年~2006年
  • 最高出力:77~265kW〔105~360ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン、クーペ、カブリオレ、ツーリング、コンパクト、M3(クーペ/カブリオレ)

1997年は映画「タイタニック」が歴史的大ヒットを記録。ピアスやタトゥーがファッション感覚で愉しまれるようになり、コミュニケーションではテキスト・メッセージが日常的に使われるようになりました。この年、ヘール・ボップ彗星が地球に大接近し、世界中の注目が夜空に向けられました。

1997年はまた、BMW 3シリーズの第4世代が市場を賑わせた年でもあります。前回と同様、最初に投入されたモデルはセダンで、続いてクーペ、カブリオレ、ツーリング、コンパクト、そしてM3が発売されました。クーペ、カブリオレ、コンパクトがそれぞれ独自のデザイン言語を持ったことで、スタイリングにも初めて明らかな違いが生まれました。

新たなデザイン言語が、成功へと導く

第4世代の3シリーズは、特にそのエクステリアに関してBMW セダンのデザインを徹底的に見直しました。3ボックス・デザインは(ボンネット、パッセンジャー・コンパートメント、トランクの明確な線引きによって)保持されましたが、グリーンハウスつまりフロント・ウインドー、リヤ・ウインドー、サイド・ウインドーを分ける各ピラーおよびルーフには新たなデザインが採用されたのです。

サイドから見た時のルーフ・ラインの形状には、より明確な曲線が与えられました。これによってリヤ・シートの乗員に、より大きなヘッド・クリアランスが確保されることになります。

この新デザインの採用が功を奏し、第4世代のBMW 3シリーズは3,266,885台の販売実績を達成。今までで最も売れたBMWモデルとなりました。

第5世代

  • 製造期間:2005年~2013年
  • 最高出力:90~331kW〔122~450ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン、クーペ、カブリオレ、ツーリング、M3(セダン/クーペ/カブリオレ)

「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」が2005年度最高の興行成績を達成。ヒット・チャートは50セント、マライア・キャリー、そしてグウェン・ステファニーが独占しました。YouTubeのサクセス・ストーリーもこの年から始まります。

2005年3月のジュネーブ・モーター・ショーで、BMWは第5世代の3シリーズを発表しました。そのわずか1年後に、この第5世代は「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」の栄誉を獲得しています。

第5世代のデザインも、明らかな進化を遂げていました。しかし、各モデルはそれぞれに別の道を歩んでおり、例えばクーペとカブリオレはまったく異なるコンセプトでデザインされていたのです。

比類なき融合

BMW M3 セダンは、2つのデザインの融合から成っています。クーペをベースにしたフロント・セクションと、セダンから派生したリヤ・セクションという前例のない組み合わせが、まったく新たなフォルムを生み出したのです。

第5世代のM3は、ピックアップ・トラック仕様であってもサーキットとBMW M社の工場敷地内の両方でその性能が試されました。「M3ピックアップ」はこの世代が初ではなく、もともと第2世代に含まれていたモデルで、工場敷地内やその周辺で納入部品を移動させるために約26年間も使用されていました。

第6世代

  • 製造期間:2011年以降
  • 最高出力:85~338kW〔116~460ps〕
  • モデル・バリエーション:セダン、ツーリング、グラン ツーリスモ、M3

海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」が世界中で熱狂的なファンを獲得。歌姫・アデルはグラミー6部門受賞の快挙を遂げ、映画監督のミシェル・アザナヴィシウスはサイレント映画時代へのオマージュを捧げた作品「アーティスト」で喝采を博しました。

その間、BMW 3シリーズはもうひとつの新たな道を走り出していました。それが“電動化”です!第6世代ではエンジンのバリエーションに初めてハイブリッドが含まれるという画期的な出来事が起こりました(アクティブ・ハイブリッド3、のちに330e iPerformance)。また、この世代ですべてのエンジンにターボ・チャージャーが搭載されました。

デザインも前モデルから刷新され、より大きなBMW 5シリーズに近づいた形となりました。際立った特徴としては、フロント・マスクのキドニー・グリルとヘッドライトが繋がった点が挙げられます。

同時に第6世代はサイズ面でも進化し、長尺バージョンのグラン ツーリスモがラインアップに加わります。クーペのルーフ・ラインをセダンに採用し、より長いホイール・ベースを備えたことで、この新たなモデルはリヤ・シートの乗員に広いフット・スペースおよびヘッド・クリアランスをもたらしました。

パーソナライゼーションの強化

より個人的な感覚やスタイルが重視される時代になり、車も豊富なカラーやマテリアルから選択し、自由にカスタマイズできるようになっていきます。3シリーズでは、M Sportパッケージの他に、モダン・ライン、スポーツ・ライン、そしてラグジュアリー・ラインの3つのトリム・レベルも用意されました。

3シリーズの2モデルが、4シリーズへ

クーペとカブリオレの2モデルを独立させて新しいシリーズを作るということは20年前、3シリーズが第3世代を迎えた時すでに持ち上がっていた議論でした。
そしてそれは、第6世代でついに現実のものとなります。セダン、ツーリングおよびグラン ツーリスモはBMW 3シリーズとして留まり、カブリオレ、クーペ、新たに登場したグラン クーペによる独自のファミリー、BMW 4シリーズが構成されました。

第7世代

  • 製造期間:2018年以降

GoogleのAIアシスタントがあなたの代わりに電話をかけたり予約をしたりできるようになり、映画では「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」が大画面で上映されました。また、サウジアラビアでは世界一の高さとなる予定の超々高層ビル、ジッダ・タワーが建設途上となっています。 

それでは、BMW 3シリーズが向かうべき未来とはどのようなものでしょうか?そのひとつの答えが、BMWの新たなデザイン言語を反映した最新世代の3シリーズです。特に印象的なエレメントは、前世代のものよりさらにワイドになったキドニー・グリルで、左右がひとつに繋がったデザインによっても、まったく新たな個性を視覚的にアピールしています。

その一方で、第7世代は3シリーズの歴代モデルに貫かれてきた伝統的なデザインも、しっかりと受け継いでいます。そしてショート・オーバーハング、ツイン・ヘッドランプ、キャラクター・ラインなどのエレメントとともに、高らかに告げるのです。これは紛れもなく“BMW 3シリーズ”である!と。

※このページで使用している情報(発売年、諸元、仕様など)は日本仕様とは異なる場合があります。

人生に、安心の歓びを。

ニューBMW 3シリーズ セダン / ツーリング。​

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