BMWという名前の歴史を紐解く

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今やBMWという名称は、「駆けぬける歓び」の象徴として世界中から親しまれています。では、このBMWというアルファベット3文字は、何の略語なのでしょうか? そしてその名称はいつどのように誕生したのでしょうか?ここでは、BMWという社名の波乱に満ちた歴史について紹介していきます。

2020/5/15

BMWとはドイツ語で“バイエルン州のエンジン工場”を意味する「バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」の頭文字を取ったものです。会社の起源がドイツ・バイエルン州にあることと、BMWが当初さまざまな用途に使われるエンジンを扱っていたことを示しています。

ルーツは、航空機エンジンを製造する「ラップ原動機製造所(Rapp-Motorenwerke GmbH)」が創業した1913年にまで遡ります。第一次世界大戦中、ラップ社はドイツ帝国空軍の納入業者でした。当時、自動車製造は産業としてまだ発展しておらず、人々の長距離移動には主に列車が使われていました。

ラップ原動機製造所からBMWへ

ラップ原動機製造所はバイエルンの州都ミュンヘン郊外に工場を築き、エンジン製造を始めます。その近くには

航空機の機体を製造する「グスタフ・オットー航空機工業(Gustav Otto Flugmaschinenfabrik、)」があり、ラップ社もここにエンジンを供給していました。しかし、グスタフ・オットー社は1916年に経営が破綻、社名をバイエルン航空機製造株式会社(Bayerische Flugzeugwerke AG=BFW)に変更します。その翌年にはラップ社も社名を変更し「バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」が誕生したのです。BMWのルーツがラップ社にあることは、そのロゴデザイン(➜BMWロゴの由来と歴史​)からも明らかです。

BMW AG
1918年、バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケの工場用地はまだ未開発の区域にありました。今日BMWグループ・クラシックは、ミュンヘンのモーザッハ通りにある瀟洒な建物内に本拠を置いています。

わずかの間、BMWの名が表舞台から消える。

1918年、バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケは株式会社となりました。しかし第一次世界大戦後のベルサイユ条約によって、ドイツは軍用航空機エンジンの製造を禁止されてしまいます。そこでBMWは、航空機エンジンから鉄道用のブレーキや内蔵モーターの製造にシフトすることにしました。その後ベルリンに本拠を置くブレーキ会社「クノール・ブレムゼ社(Knorr-Bremse AG)」との協力関係が深まり、共に道を歩むこととなります。1920年、BMWの過半数の株を所有した同社との合併が決まり、ミュンヘンに移転。こうして、独立企業であったバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケの名は、一時的に表舞台から消えることになります。しかし、それもさほど長い期間ではありませんでした。

BMW AG
1970年代、時代とともに変貌を遂げた。ドイツ・ミュンヘンにあったミルバーツホーフェン工場。

BMW設立、第2幕!

1922年、投資家であり航空機製造の先駆者でもあったカミッロ・カスティリオーニが、クノール・ブレムゼ社の主要株主になりました。そしてカスティリオーニはBMWを買収、その従業員、生産施設、エンジン製造業務のすべてを「バイエリッシェ・フルークツォイクヴェルケ社(BFW)」で引き継ぐことにしました。

同年、BFWは本社をレルヒェナウアー通りにあった工場ビルに移し、その名前をバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケに変更。こうしてBMWという名称が、2回目の商業登記に至ったのです。

BMW AG
1929年、ベルリンのBMWショールーム

つまり、法的にはBFWの後継企業であり、BMWグループの本社とメインの工場は今なお、ミュンヘンのミルバーツホーフェンにある旧BFW敷地内にあります。この航空機の製造会社はBMW AGの歴史上でも重要な意味を持ち、BFWが設立された1916年3月7日は、BMWの正式な設立日とみなされています。

BMW AG
1923年、BMWが最初に製造したオートバイR 32を発売。1933年には自社開発による初の自動車BMW 303が誕生しました。第二次世界大戦の終わりに航空機エンジンの製造を中止しています。

BMWの歴史をギャラリーでお愉しみください。

Rapp/BMW AG – BMW Group Archiv
Rapp/BMW AG – BMW Group Archiv
Hudeck J./BMW AG
BMW AG
BMW AG
Österreichische Nationalbibliothek
Königl.Bay.Luftbildschule-Bayer. Hauptstaatsarchiv
BMW AG
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ミュンヘンにあったラップ原動機製造所は、1917年「バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」に社名を変更。
ミュンヘンにあったラップ原動機製造所は、1917年「バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)」に社名を変更。
ラップ原動機製造所は、軍用機エンジンを専用に製造していました。
ラップ原動機製造所が製造した航空機エンジンは、グスタフ・オットー航空機工業によって機体へと組み込まれました。
航空機の前に立つ創設者、グスタフ・オットー。彼の会社は、BMWの歴史の中でも重要な役割を果たしました。
1920年、ベルリンに本社を置くクノール・ブレムゼ社(Knorr-Bremse AG)がバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケを買収し、ミュンヘンに移転。写真は、1947年のブレーキ・コンプレッサー製造の様子。
クノール社の主要株主であり航空機製造の先駆者でもあったカミッロ・カスティリオーニが、BMWの商標権とエンジン製造権をバイエリッシェ・フルークツォイクヴェルケ(BFW)に移転しました。
1917年、現在の本拠地であり、その前身であるBFWが当時本社を置いていた場所は、ミュンヘンの郊外に位置していました。
ミルバーツホーフェンには、有名な4シリンダー・タワーとBMWヴェルト(正面左)とともに現在の本社があります。

BMWが象徴するものとは?

BMWという名称は、バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(Bayerische Motoren Werke GmbH)の頭文字を取ったものです。BMWはミュンヘンのラップ原動機製造所を改名して1917年に誕生しました。その後1920年にはクノール・ブレムゼ社に合併され、1922年に再スタートを切ります。それは、1916年に設立されたバイエリッシェ・フルークツォイクヴェルケ社の後継企業としてでした。したがって、BMWの設立年は1916年とされています。

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➜ 世界各国のBMWの発音(リンク先は英語の記事です。)

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