このBMW 8シリーズは、私の夢がつまったクルマです。本当に特別な経験でした。BMWの特別仕様車をデザインすることは、長年の夢だったのです
アーティスト
アメリカのアーティスト、ジェフ・クーンズの新作には、いつも多くの注目が集まります。それは今に始まったことではありませんが、今回はBMWが作品となります(➜さらに読む:偉大なるBMWアート・カーの歴史)。しかも、今回の「車輪のついた彫刻作品」は、1台限りのものではありません。99台限定で製作され、実際に路上を走ります。BMWのCEOであるオリバー・ツィプセは、THE 8 X JEFF KOONSのゴールを次のように語っています。「コレクター・アイテムとして美術館で展示されるだけではなく、正真正銘、BMWのクルマとして路上でも活躍します。」
クーンズは、BMW 8シリーズの特別仕様車のデザインに力を尽くしました。製作には惜しみない努力が注がれ、ブルー、シルバー、イエロー、ブラックなど、11色の鮮やかな色彩が使われました。ブルーは、クーンズにとって、果てしない大宇宙を想像させる色です。インテリアには上質な素材と最高級のレザーが使用され、エクスクルーシブな雰囲気を醸し出しています。シートはレッドとブルーの印象的な色合いで、コミックのスーパーヒーローとBMW Mの色が反映されています(➜さらに読む:BMW Mのロゴとカラーの由来)。
ポップ・アートの要素や幾何学的な模様が、BMW 8シリーズ グラン クーペのラインや輪郭と見事に調和しています。リヤに描かれた放射状のラインは、クーンズが2010年に製作し、ル・マン24時間耐久レースに出場した17台目のBMWアート・カーである「BMW M3 GT2」を彷彿とさせます。クーンズによると、両サイドにある「POP!」の文字と旋風の絵は、THE 8 X JEFF KOONSのパワーとスピードを表現しているとのことです。
BMWの特別仕様車をデザインすることは、クーンズ自身の長年の夢でした。彼の特別モデルは、人目を引くと同時に、ミニマルでコンセプチュアルでもあります。「このクルマに乗って運転するのが待ちきれません。私と同じように、このグラン クーペで歓びを感じてもらえたら嬉しいです」と彼は言います。さらに、クーンズは「大切なのは、人と人との関係性や、自分を取り巻くすべてのものへの意識です。ドライバーと同乗者全員の歓びが高まっていくようなクルマを目指しました」と、自身の思いを語りました。
BMWは、新しいことに果敢に挑戦し続けることで成長します
BMW AG CEO
オリバー・ツィプセも、クーンズと同じく、情熱を抱いています。BMW本社、ミュンヘンの研究開発センター、ディンゴルフィン工場、ランツフート工場などで、すべての人がクーンズとの共同作業に刺激を受けたとツィプセは語ります。加えて、「THE 8 X JEFF KOONSほど、デザインに力を入れたBMWは、当社の歴史の中でも過去に例がありません」と語ります。
エクステリアの塗装は、200時間以上の手作業を必要とし、色見本をルーペで何度も確認しながら行われました。「何十人ものエンジニアやデザイナーが、今回のコラボレーションを歓び、クーンズのアイデアを実現するために全力を尽くしました」とツィプセは言います。クーンズ本人も、数ヶ月間にわたってディンゴルフィン工場を何度も訪れ、製作に携わるすべてのBMW社員とデザインについて話し合いました。
THE 8 X JEFF KOONSの1台1台に、クーンズの署名入り証明書が付いています。そこには、ツィプセの署名と車両の識別番号も記載されています。クーンズは、さらに細部にまでこだわり、取扱説明書のブックカバーもデザインしました。
THE 8 X JEFF KOONSは、マンハッタンのロックフェラー・プラザに展示され、その後、ジェフ・クーンズが署名した1台が、4月4日にニューヨークのクリスティーズで競売にかけられます。オークションで得られる収益はすべて、児童失踪・児童虐待国際センター(ICMEC)に寄付されます。クーンズは、このNGOと20年以上にわたって個人的な関係を築いてきました。
そして、THE 8 X JEFF KOONSはグランド・ツアーへ旅立ちます。第16回コンテンポラリー・イスタンブール、パリ・フォト、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(➜ さらに読む:カーマニアが死ぬまでにしたいこと※リンク先は英語です)、アート・ドバイ、ウェストバンド・アート&デザイン上海、アート・バーゼル香港といった、世界中のアート・フェアやイベントでの展示が予定されています。
記事: Nils Arnold & BMW; 画像 & 動画: BMW