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さよなら、BMW i3:この愛は永遠に色褪せないさよなら、BMW i3:この愛は永遠に色褪せない

さよなら、BMW i3:この愛は永遠に色褪せない

記事を読むのに必要な時間:約7分
BMW i3の生産終了という節目を迎えるにあたり、その特別なクルマの10年の歴史を振り返ります。このBMW初となる量産型の完全電気自動車の歴史について、ヴィム・ヴァン・ボガートほど詳しい人物はいません。電気自動車の愛好家である彼は、この10年間でさまざまなBMW i3に乗り、50万km以上を走破しています。

2022/9/6

2013年にBMW i3が発売されるとすぐに、インターネット上では笑顔を浮かべる人々の動画で賑わいました。新しい電気自動車を真っ先に試乗する人々の歓びに満ちた表情がスマートフォンで撮影され、それぞれのSNSから発信されたのです。

 

BMW i3のアイデアに惚れ込む
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当時、駆けぬける歓びを撮影してSNSに投稿するアイデアに関わったのが、 BMWマーケティング・エキスパートであるヴィム・ヴァン・ボガートです。ベルギー人の彼は、2001年からBMWグループのセントラル・マーケティングで、見本市、イベント、イノベーション・マネジメント、リテール・マーケティング、デジタル・マーケティング、パフォーマンス・マーケティングなど、さまざまな分野を担当してきました。2013年には、BMW i3のグローバルなBMWディーラー・ネットワーク・プレミアを担うチームに加わります。一般試乗が始まるずっと前からBMW i3を知っており、BMW初となる量産型の完全電気自動車の先見性に惚れ込んでいました。彼は、BMW i3誕生に関わった数多くの識者、およびこのプロジェクトに携わったすべての人を代表しています。また、社外の数えきれないほどの電気自動車愛好家を代表する存在でもあります。

このモデルの生産開始前からすでに、ヴァン・ボガートは試作車で短距離を運転し、デザイナーのブノワ・ジェイコブと話し、プロジェクト・マネージャーのウルリッヒ・クランツに会い、イェンス・ハルベドルなどのエンジニアから技術的な説明を受けていました。「2013年に、電気駆動の量産車をゼロから開発するのは、技術的に大きな賭けでした。当時あったのは、ニッチな製品と、エコのためだけに試行錯誤を重ねたソリューションだけでした」。

 

プロジェクトi:BMW i3の物語の始まり

当時の状況を鑑みると、10億ユーロ規模の電気自動車プロジェクトに着手したことは、BMW取締役会にとって実に勇気ある決断だったといえます。結局、BMW i3の開発と生産では、幾度となく計画がゼロからのやり直しになりました。なにしろ、最も重要な部品がエンジンではなく、突然、バッテリーに変わったのです。それに、BMWは昔も今もハイクラスな内燃エンジンの代表格でした(➜さらに読む:驚異の技術:傑出した12のBMWエンジン)。


まず手始めに、ストラテジスト、電気技師、化学者からなる異色のチームが発足し、先見の明を持ったウルリッヒ・クランツに率いられ、 BMWグループ本社の片隅で「プロジェクトi」(➜さらに読む: BMW iの10年:ヴィジョンが生んだサクセス・ストーリー。)というコードネームのもと、人知れず試行錯誤を重ねました。クランツは、BMWの専門家たちの知識と才能を電気自動車の設計に活かせるようにリードしました。また、ランツフート工場から軽量設計の専門家を招き、バッテリーによる大幅な重量の増加を補うための方法を模索しました。そうした協力により、不可能と思われていた、重量を増やすことなくバッテリーを搭載した電気自動車が実現したのです。10年たった今でも、この驚くべき偉業は他の追随を許していません。現在の電気自動車の重量は、従来のそれよりも、数百kgも重くなっています。

BMW i3とは

BMW i3は、BMWの電気自動車です。BMWのライプツィヒ工場で2012年から2022年まで生産されました。この電気自動車の最も特徴的な点は、唯一無二のデザイン、カーボン使用率の高い車体、リアヒンジのリアドア、包括的なコンセプトに基づき厳選された素材の使用です。

 

新たな技術設計を可能にする電気自動車

IAA 2011でBMW i3のデザイン・スタディが初披露された頃には、BMWの全社員だけでなく、自動車業界全体がプロジェクトiに注目していました。IAAのBMWブースを担当していたヴィム・ヴァン・ボガートは、当時を思い出しながら次のように語ります。「その時点で、誰もがこのプロジェクトが革命的であると理解していました。BMW i3を一目見ればわかるように、ゼロから設計されたバッテリー駆動の車体が、これまでにない設計を可能にしています。まったく新しいクルマのコンセプト、改良されたプロポーション、インテリアとエクステリアの斬新なデザイン。まるで、刺激的な未来を鍵穴から覗いているような気分でした」。

それからわずか2年弱で、ヴァン・ボガートのもとに、ライプツィヒ工場で生産された新シリーズのBMW i3が初めて納車されました。10年近く経った今でも、彼は当時のことを鮮明に覚えており、そのことをBMW流の言葉で語ります。「雑音がなく、内燃エンジンにありがちな振動や騒音が一切ありません」。BMW i3での最初の数週間は、ヴァン・ボガートにとって行動療法のようだったといいます。「内燃エンジンのクルマでは、急かされるような気持ちを感じながら運転していました。耳元で、『私は他の奴よりも早い。さあ、アクセルを踏んで、彼らを追い越せ』と囁かれているようでした。BMW i3は、その真逆です。感情を穏やかにしてくれます。落ち着いた雰囲気のおかげで、 BMW i3を乗り始めてから今まで、平静を保った運転ができています」。


このようにヴァン・ボガートは、落ち着いた雰囲気の自然素材をインテリアに意図的に取り入れたBMW i3のデザイナー、ブノワ・ジェイコブの考えが完全に正しいことを証明しました。高い座席、トランスミッション・トンネルのない風通しのよい室内、前方に離れて配置されたダッシュボードなど、インテリアはドライバーに充分な安心感を与えるよう設計されています。冷静なドライビング・スタイルを促すことでバッテリー消費量を節約し、航続可能距離を延ばすこと(➜さらに読む:電気自動車に関する10の通説)を意図した戦略でした。結果として、2013年のバッテリー技術では、20 kWh強のわずかな容量でありながら、ドライビング・スタイルによっては160 kmの最大航続可能距離を達成したのです。

 

長距離走行による新たな充電体験

ヴァン・ボガートは、BMW i3を初めて運転する中で、落ち着きと安心感のある新しいドライビング・スタイルを体験するとともに、電気自動車の他の特長も発見しました。「妻と私は、何年もイタリアのメラーノへ休暇に出かけています。BMW i3で初めてドライブしたとき、ステルヴィオ峠を越える風光明媚な曲がりくねった道を走りました。峠の頂上からメラーノまでは75 kmもの下り坂が続きます。目的地に到着すると、下り坂走行中の電力回復によってバッテリーがフル充電されていました。それ以来、山は電気自動車の充電ステーションのような場所だと思うようになりました」。


こうした良い充電体験を得たものの、ヴァン・ボガートは、他の多くのお客様と同様に、初代BMW i3の次に、小型のガソリン・エンジンが発電機として機能しバッテリーの航続可能距離が延びる、レンジ・エクステンダーを装備したモデルを選びました。2013年には充電ステーションがほとんどなかったため、日常生活を快適にするための巧妙なアイデアでした。しかも、充電ステーションの大半が都市部にあり、田舎道や高速道路での移動は冒険のようなものでした。電気自動車の充電には時間がかかり、予備のバッテリーを備えることもできなかったからです(➜もっと読む:10のステップで、電気自動車の充電をマスター。)。
 

こうした充電インフラの不足と航続可能距離の短さを考慮し、開発者と設計者は当初、BMW i3を都市部向けのクルマとして推奨していました。都市は、コンパクトな電気自動車に適した場所です。騒音と汚染に悩まされる都心では、地域に排気ガスを出さないドライビングが強く支持されています。最小限の回転半径、ロケットのような瞬発力、ラウンジのような室内にもかかわらずコンパクトなサイズ、電気エネルギーの恒久的な回復といった、都会のパートナーとして理想的な特長がBMW i3には備わっているのです。

 

パイオニア精神でさらなる長距離走行を達成

大都市向けのクルマだからといって、ヴァン・ボガートはこの10年間、定期的に長距離走行の記録を更新するのを止めませんでした。そうでなければ、1年で5万 kmを達成することはなかったでしょう。しかし、家族旅行となると、妻と2人の子供たちは、電気自動車マニアの父ほどのパイオニア精神は持っていなかったようです。とりわけ、ミュンヘンから故郷のベルギーへの初めて家族旅行は、あまり愉しいものではありませんでした。電動航続可能距離の短い初代BMW i3で長距離を移動することの心配を払拭するために、彼は家族に語りかけました。「ぼくたちが乗っているのは、まさに未来のクルマなんだよ」。そんなヴァン・ボガートの多幸感は、何度も充電のために停車しながら、16時間かけてドライビングをした後でも失われませんでした。一方、家族は彼と同じ気分ではありません。「妻と子供の雰囲気は、まさにどん底でした」と苦笑いしながら語ります。

その後も、ヴァン・ボガートは変わらぬ情熱で、BMW i3に乗って長距離旅行に出かけました。2018年末以降は、バッテリーが改良されて初代モデルから2倍の容量になり、300 kmの航続可能距離(➜もっと読む:電気自動車とプラグイン・ハイブリッド・モデルの特徴)を実現し、より使いやすくなりました。彼は現在、「Unique Forever 」のロゴが特徴的なBMW i3最後のシリーズであるBMW i3sを所有しており、そのクルマでノルウェーのノースケープまで旅行したいと語ります。「中央ヨーロッパ、とくに北欧の国々では、主要な道路沿いの充電ステーションがかなり発展しています」。その夢を具体的にいつ達成することができるかは、わかりません。しかし、ひとつ確かなことがあります。ヴァン・ボガートならやってのけるだろうということです。

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年々増え続けているBMW i3オーナー

今夏のBMW i3の生産終了は、ヴァン・ボガートにとって悲しい出来事です。「生産開始から10年近く経っても、BMW i3の存在は決して色褪せません。これは驚くべきことで、そのコンセプトの先見性を物語っています。軽量構造、広さ、サステイナビリティ、価値といった点では、今日でも多くの新型車より優れています」。これには、25万人近いオーナーの多くが頷くことでしょう。なぜなら、従来のモデルはライフ・サイクルの途中で販売台数が減少していくのに対し、BMW i3は生産終了まで着実に販売台数が伸びているからです。現在、 BMWのライプツィヒ工場では、特別に設置された3基の風力タービンのエネルギーを利用して(➜さらに読む:BMWが生み出すクルマは、すべてがサステイナブル)、最後の数台が限定生産されています。

ヴァン・ボガートは、今後はBMW i3がモダン・クラシックになることをすでに予測しています。「錆びないカーボンの車体、長寿命バッテリー、維持管理のしやすさ、未来的な形状を備えたこのクルマについては、愛好家が減少する気配はありません」。

2013年、BMW i3の初代モデルが、スポーツカーやSUVよりも人目を奪いながら、街を颯爽と駆けぬけました。未来のオーナーもまたあの光景を体験できるかもしれません。ヴァン・ボガートにとっても、クルマ愛好家として最高の瞬間でした。「あのとき、BMW i3が真のパイオニアだということを実感しました。多くの人を振り向かせ、子供たちや十代の若者から特に注目されました。彼らはBMW i3を気に入り、その背景にあるサステイナブルなアイデアを理解し、電気自動車についてもっと知りたがっていました」。

「さよなら、BMW i3」には、「こんにちは、BMW iX1」という意味も込められています。BMW i3との悲しいお別れの後は、電気モーターを搭載した新型コンパクトSAVのBMW iX1との出会いが待っているのです。

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筆者: Michael Seitz; アート: Verena Aichinger, Lucas Lemuth, Shin Miura; 写真: BMW; 動画: BitteschönTV, Ludwig Bütow