純粋なるドライビング・ダイナミクス:ザルツブルクリンクを走るBMW i4 M50

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ドライバーに愛されてきたBMWの駆けぬける歓びに、新たなテクノロジーが加わります。BMW iとBMW初の完全電動モデルであるBMW i4 M50の開発では、最適で優れたシャシーと長距離走行時の快適性を両立させることに重点が置かれました。レーシング・ドライバーのチャーリー・マーティンは、時折激しい雨の降るザルツブルクリンクのサーキットで車両とドライビング・ダイナミクスの耐久テストを行い、見事に成功を収めました。

2022/2/9

午前7時。ザルツブルクリンクの木々でおおわれた谷間には、霧が立ち込めています。気温は9℃を下回り、数時間前から雨が降り続けていました。濡れた路面が夜明けの光に照らされて輝いています。ピット・レーンのガレージでは新型BMW i4 M50が眠りから目覚め、厳しい条件下でのドライブに備えています。チャーリー・マーティンが愛してやまないのは、まさにこのような走行条件と挑戦的な地形のレーストラックです。トランスジェンダーのレーシング・ドライバーである彼女は(➜さらに読む:ニュルブルクリンクのチャーリー・マーティン※リンク先は英語サイトです。)、この困難に挑む決意と好奇心を胸に、今まさにBMW iとBMW M初の完全電動スポーツ・カーの性能を試そうとしていました。

開発当初からドライビング・ダイナミクスを重視

BMW i4 M50の開発を率いるプロジェクト・マネージャーのデイヴィッド・フェルフィーノは、イギリス人プロ・レーサーのチャーリー・マーティンに最後のアドバイスと説明をしています。今回テストする機能のひとつ、ローンチ・コントロールは、スポーツ・ブースト・モードにすることで、発進時から最高出力での加速を可能にします。フェルフィーノは、この完全電動モデル(➜さらに読む:電気自動車とプラグイン・ ハイブリッド・モデルの特徴)は、クラスにおける最大限のダイナミクスと適切な快適性を最も見事な形で調和させていると考えています。その上で、次のように説明します。「シャシーの開発では、正確さと平衡性に細心の注意を払うと同時に、日常での実用性と長距離走行時の快適性を損なわないようにしました。BMW i4 M50は、さらなるスポーティさを心ゆくまで堪能するために設計されたのです。」

 

チャーリー・マーティンは、練習でコースを一周しながら、重要なセクションと理想的なレコード・ラインの感触を確認しました。その後、シグナルがグリーンに点灯してから、ダイナミクス、トラクション、ハンドリングを実際に試しました。アスファルトにはいくつか乾いた箇所がありましたが、すぐに消えていきました。大部分は雨に濡れ、クルマとドライバーにとってますます厳しい条件になってきています。

フェルフィーノとマーティンが、電動スポーツ・カーであるBMW i4 M50の開発で重視されたドライビング・ダイナミクスの特性と、それを見事に披露したザルツブルクリンクでの様子を、コース上で特に印象的だった5つのセクションとともに紹介します。

ドライビング・ダイナミクスを映像で体感:ザルツブルクリンクでBMW i4 M50を走らせるチャーリー・マーティン

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エムコカーブ:頑強なボディと完璧なステアリング

「バッテリー・ケースは、衝突に耐えられるように剛性を高めています。そのことをドライビング・ダイナミクスの開発で活かし、フロント・アクスルの推力が加わる部分とリヤ・アクスルのストラットを使って、フロント・アクスルとリヤ・アクスルをしっかりと結合させました」とフェルフィーノは説明します。「そのため、推力がフロント・アクスルからリヤ・アクスルへとバッテリー・ケースを通じて非常に正確かつ迅速に伝達されます。ドライバーの操縦に対してほぼ瞬時にクルマが応答するので、非常に機敏なステアリング感覚を体験できます。まるでレールの上を走っているような感覚です。」

チャーリー・マーティンもこれに同意し、ピットアウト後の鋭いS字カーブのどの箇所でも、ステアリングは驚くほどに正確で、特にコーナーの進入および脱出時の高限界域では際立っていたと答えています。「濡れた路面にもかかわらず、タイト・コーナーへの旋回を見事にこなしていたのが印象的でした。BMW i4 M50は非常に正確に応答します。ステアリング・ホイールの動きに対して、サスペンションが動き、アスファルト上のタイヤが反応するまでの時間差がありません。フロント・アクスルの制御性が高く、ドリフトせずに思い通りの方向にクルマを進めることができます。エムコカーブでは、正確なステアリングの良さをすぐに実感できました。」

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ノックスタイン・ケーレ:鍵となるのはトラクション

短いストレートの後でノックスタイン・ケーレというヘアピンカーブに差しかかると(➜さらに読む:コーナーにおけるレコード・ラインの探し方)、卓越したトラクションと高度なダイナミクスのパワートレインが組み合わさり、BMW i4 M50のスポーティな持ち味が特に引き出されたとフェルフィーノは明かします。

「スタビライザーの主な役割は、取り付けられているアクスルのロール剛性を変化させることです。フロント・アクスルとリヤ・アクスルのロール剛性の比率は、車両のバランス、特にアンダーステアやオーバーステアの傾向に影響を与えます」とチャーリー・マーティンは補足し、BMW i4 M50の長いコーナーでの卓越したトラクションを強調します。「ノックスタイン・ケーレでは、車両のバランスを調整することができました。スピードをつけてカーブに入り、電気モーターのパワーを真っ先に利用しました。コーナーを抜けたときには、タイヤのグリップが推進力を発揮し、気持ち良いステアリング感覚を味わうことができました。まるで磁気を帯びたカーペットを走っているようなトラクションに感動します。そのおかげで、濡れた路面でも、電気モーターが生みだすパワーを利用しながら、自信を持って自分のラインを予想することができるのです。実際、コーナー出口では私が想像していた以上に限界を超えて加速することができました。」

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オストシュライフェ:ドライビング・ダイナミクスの全貌

「クルマがオストシュライフェ・カーブで強みを存分に発揮するためには、雨などの外的な影響や、くぼみや縁石などの道路特有の障害物など、あらゆる走行状況に対応する完璧なコントロールを実現しなければなりません」とフェルフィーノは説明します。「BMW i4 M50がもたらす正確なステアリングと、減速から加速への素早い移行はきわめて重要です。運転すると車両の軽さを実感できるでしょう。この特長はさまざまな場面で活かせます。日常の運転ではとても快適かつ静かで滑らかな走りを可能にしますし、その一方で、冒険心をくすぐるオフロードや、ザルツブルクリンクをハイスピードで周回することもできるのです。」

チャーリー・マーティンが特に重視するのは、シャシーとサスペンションの剛性です。「このセクションでは、クルマはできる限り安定していなければならず、ふらついたり傾いたりしてはいけません。なぜならシャシーを信用する必要があるからです。クルマの安定性と落ち着きのおかげで、長い左右のコンビネーションで迫るオストシュライフェに入っても、スピードを上げたまま、非常にしっかりとした正確なハンドルさばきができました」

3Dモデルで360度体験:あらゆる角度からBMW i4 M50をご覧ください

ボンネットに隠された、技術革新までご覧いただけます。3Dアニメーション・モデルでは、BMW i4 M50の技術的な内部構造が包括的かつ魅力的に示されています。特別な電動ドライビング・ダイナミクスを可能にするための最も重要な部品をバーチャルでクリックしてご確認いただけます。

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ファーラーラガー・カーブ:eDriveが導く

電気自動車であるBMW i4は、内燃エンジンと比べてバッテリーの重量が1,237ポンド(561 kg)増加しており、開発における大きな課題となりました。フェルフィーノは、この課題をチャンスとして捉え、チームワークで解決することに胸を躍らせました。「解決策の良い例が、バッテリーをボディの中心に据えたことです。バッテリー・ケースの剛性により、e-Driveのパワーを正確かつ素早く伝達することができます。」     

チャーリー・マーティンは、この敏捷性を高く評価しました。「ファーラーラガー・カーブは、コースの中でも強烈なセクションです。高速で進入してから、急ブレーキをかけ、数段階シフトダウンしなければなりません。クルマのラインが乱れてしまい、コントロールを失いがちです。BMW i4 M50では、シフトダウンを気にすることなく、ラインとブレーキだけに集中できました。内燃エンジンのようなエンジン音がない代わりに、ステアリングやシャシーからのフィードバックに完全に意識を向けられます。そのため、クルマのセットアップに一層集中し、最適なバランスを見つけて最大限加速しながらカーブへ進入することができました。またしても、このクルマの軽快な走りに驚かされました。」

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シケイン:理想のラインで加速

左・右・左のカーブが連続するシケイン。ここでも、クルマとドライバーのすべてが試されます。「BMW i4 M50に搭載されている多くの部品が調和して、心痺れるドライビング・ダイナミクスを生みだすため、このような難所もスポーティに駆けぬけることができます」とフェルフィーノは語ります。どうやって、その走りを実現したのでしょう?まず、低重心化と、アダプティブ M サスペンションを採用したストラット・パッケージにより、3シリーズと比較して剛性が70%向上していることが挙げられます。また、アクスルの構造を見直して車輪間隔をフロント・アクスルで26 mm、リヤ・アクスルで12 mm広げ、ニアアクチュエーター・ホイール・スリップ・リミッター「ARB-X」でトルク制御を10倍高速化。さらにダウンフォースを増大させるガーニー・フラップのリヤ・ウイングを採用しています。

シケインでは、タイト・コーナーを抜けてからの加速が勝敗を分けるとチャーリー・マーティンは強調します。「このクルマは、フロント・アクスルで優れたグリップ力を発揮しながら、正確な方向転換ができます。4輪駆動モデルとしては想像以上でした。シケインのコーナー間の最低速度を維持することも重要です。BMW i4 M50では、いちいち2速や3速にシフト・チェンジしなくても、思いのままに瞬時に加速することができます。これは、内燃エンジンと比べてドライバーに有利な点です。このパワー・デリバリーの操作性は、実際に体験してみなければわかりません」

駆けぬける歓びを分かち合う

午後6時、走行テストが終わりました。どしゃ降りの雨の中、ピット・レーンの光に照らされてレーストラックが輝いています。クルマは乾いたガレージにすべり込みました。プロジェクト・マネージャーは、チャーリー・マーティンから試乗の感想を興味深げに聞いています。

フェルフィーノにとって特別な瞬間です。「プロジェクト・マネージャーにとって、またBMW全体にとって、3年、4年、あるいはそれ以上の年月をかけて開発した製品を通してお客様やファンに歓びを与えられたときの達成感は、この上ないものです。チャーリー・マーティンのような情熱的なレーシング・ドライバーに試乗してもらい、感想を直接聞けて、特別な気分です。」レーストラックを照らす最後の投光照明が消えると、マーティンは次の仕事、次のレースへと出発します。」

名残惜しそうな表情を浮かべながら、BMW i4 M50に別れを告げていきました。とても静かな瞬間でした。駆けぬける歓びを語ることはできますが、ときには何の言葉も必要ないこともあります。彼女の表情は千の言葉よりも多くのことを語っていました。

記事: Markus Löblein; 画像: Yannick Wolff; 動画: Yannick Wolff, Patrick Zander

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