パティシエ・平瀬祥子「変わるために大切なのは、勇気を持って前進する意志」

BMW iX1 xDrive30 M Sportは前に乗るか後ろに乗るかで全然印象が変わる車

iX1 xDrive30 M Sport（アルピン・ホワイト）は、運転者目線だと「視界が広くて運転しやすそうだな」という感じで、同乗者目線だと「リラックスできる車だな」という感じでした。前に乗るか後ろに乗るかで全然印象が変わる車ですね。前の席は運転席も助手席もコックピットみたいにしっかりとした作りで安心感がありました。

SUVなので程良い高さもあって見やすいですし、車幅もそこまで大きくないので女性でもスムーズに運転できそうだなと思いました。ディスプレイも近未来的でかっこいいなと思いました。

後部座席は、いい意味で眠くなる空間ですね（笑）。静かですし、揺れませんし、窓が大きくてサンルーフもあって外の光があたたかく入ってくるので開放感もたっぷりですし、心身ともにゆったりできる空間だなと思いました。景色を見るのがすごく好きなので、自然の中を走ってみたいですね。景色から仕事のインスピレーションを得ることもあるので。ぜひ、iX1で地元の九州の海沿いを走りたいなと思いました。

農家さんの情熱を注いでいる姿を見たときが“新しい景色”

私が見た“新しい景色”は、神奈川県・平塚の農家さんをたずねた時です。ヤーコンという根菜を見せてもらいに行ったのですが、2月のすごく寒いタイミングだったのに、畑で素手でヤーコンを採っている姿が野菜への愛情たっぷりだったんです。畑からは普段から手間暇かけて情熱を注いでいることも伝わってきました。あれは作物を作る尊さを改めて感じた瞬間でしたね。

それ以来、「皮ですら捨てることはもったいない」と考えるようになり、大切に育てられた作物を私達がお客さんに届けるまでの間で何一つ無駄にしてはいけないという思いで、全部使い切るレシピを考えるようになりました。それまでも、市場にはたくさん行っていたので決して作物と向き合って来なかったわけではないと思うのですが、農家さんが注いだ愛情に恥じないようにと、襟を正すきっかけになった出来事でした。

女性パティシエを取り巻く環境を長く働き続けられるものにしたい

いま前に進めようとしていることは、女性パティシエの労働環境の改善です。これは、業界全体として変えていかなければならない課題だと捉えています。女性は、30歳前後のタイミングでの離職率がとても高く、その理由は、仕事か家庭かの選択を迫られるからなんですね。

料理人は、20代を修行で過ごして、30代でその技術を発揮できるポジションに就くというモデルが多いのですが、30代になるタイミングで結婚や出産によって自分の環境が変化することで、仕事の両立が難しくなってしまう女性をこれまで何人も見てきました。

現状では、業界が先細りしてしまうなと思いました。若い子が上の世代を見た時に、30代、40代にロールモデルになるような人がいないと、20代の厳しい修行時代を頑張れませんし、人生設計を考えた時にそもそも職業として選ばれなくなってしまうのではないかという危機感を抱きました。だから、私のお店では女性が長く働き続けられる環境を作ろうと試行錯誤しています。

昔、フランスで働いていた時、周りの女性たちは仕事も家庭も上手に両立していました。男女、立場関係なく、周りの人間が子育てしている人を自然にフォローする空気がありました。その時、大切なのは「周りの共感」なんだなと思ったんですね。日本人は共感力が高いので、きっときっかけさえあれば、変わることはできると信じています。

長年、女性パティシエを取り巻く環境は変わりませんでしたが、仕事のあり方や生き方は時代によって変化していくものだと思います。大事なものは受け継ぎながら、あとは時代に合った形に柔軟に変化していくことが大切なんだと思います。
今回、試乗したiX1は、EVでした。BMWの持つ「走る歓び」を大切にしながら、時代に即した形に進化しようとしている姿勢にとても共感しました。世の中に“変えられないこと”は、実は少ないはずです。大切なのは、前進する意志だと思います。

FREUDEとは“お客さんの笑顔が見れた時”

私が歓びを感じる瞬間は、お客さんの笑顔が見れた時です。お店で働いている若い子がいきいきと働いている姿を見たときも嬉しいですね。個人的な小さな歓びでいうと、新しいメニューを思いついてイメージ通りに美味しくできた時も嬉しいですね。逆に、メニューを変えないといけない時期になかなかアイディアが出てこなくて、やっとひねり出したメニューが上手くできた時も嬉しいです。その時は、嬉しさ以上に達成感があるかもしれません。