境界を打ち破る、teamLabの挑戦。

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チームラボは、アートとテクノロジーを駆使し、私たちを取り巻く世界に対する人々の認識にチャレンジするクリエイター集団です。ここでは、人間の心理と思考を変化させるアートを彼らがどのように生み出しているのかを探ります。

2020/12/7

チームラボは、国際的なアーティスト、プログラマー、エンジニア、CGアニメーター、数学者、建築家など様々な分野のスペシャリストから構成されるアート集団です。アートワークによって、自分と世界との関係における新たな認識を模索しています。

チームラボが世界をどのように見つめ、新たな視点への扉を開くかについて、創設者兼代表である猪子寿之氏に聞きました。

人々が世界を見る方法は、きわめて主観的です。その見え方は私たちの知識や、私たちの周りで起きていることをどう理解するかによります。チームラボのクリエイティビティにおいて、自然と人間の関係性は、大きな意味を持っていて、その関係性を踏まえて、私たちの考えをアートや感動に変えていっています。

人々はしばしばメディアなどを通じ、身体ではなく脳で外の世界を理解することで、自分が存在する世界を認識しています。しかし、このような理解はとても脆弱なものです」と猪子氏は言います。「人間は自身の身体と感覚を使って世界を理解し、思考しているのです
猪子寿之

チームラボ創設者兼代表

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この時代、少なくともアーティストにとってより重要なことは、人間の理想主義的な部分を探し出してそれを肯定し、未来へのアイデアを示すことだと考えています。

2001年の設立以降、国際的なアート集団であるチームラボは、人々と世界の関係性を分離・分断する要因を取り払うことで、新たな認識を模索してきました。同じ目標の下で異なる才能を融合し、科学とアートの境界を分析。この境界線を誰も予想しないようなテクノロジーで無くし、チームの信念を独自のアートワークに反映させています。彼によると、境界とは頭の中で作られたもので、物事を身体で体験することにより、自分と自分を取り巻くすべてのものとの接続性が明らかになると言います。

「個人レベルでは言語や科学の枠の中で世界を理解しようとするため、それぞれを切り分け独立したものとして認識せざるを得ません。しかし、この世界のあらゆるものはボーダレスな連続性の中に存在しています。」と猪子氏。「人々が自由に動き、他者とのつながりや関係を築くことで、実際の体験とともに世界を理解し認識する機会を提供したいと考えています。この体験によって、身体には独自の時間感覚があることに気づくでしょう。脳内を巡る思考と思考の間の境界は曖昧であり、相互に影響を与え合い、時には互いに混ざり合うこともあります。」

このコンセプトは、上海にある「チームラボ・ボーダレス」の常設コレクション「The Sculpture of Time Distortion in a Mirror」でも具現化されています。それを覗き込むと、時間が歪む感覚があります。身体はすぐに受け入れようとしますが、これに対し脳は、現実と現実の間の不可思議な空間に存在することを理解しようとするのです。人々がかつてない方法で自分以外の世界を理解し、解釈するための手助けとなることが、この作品の目指すところです。ハイテクな手法を駆使して、人間と外の世界の間にある境界を打ち破る。こうした体験こそが、新たな認識の瞬間につながるのです。

東京と上海にあるチームラボ・ボーダレス・ミュージアムでは、このコンセプトを文字通り示すアートが生み出され、展示されています。各作品の音や光や様々な形が、各空間の境界を打ち破り、ミュージアムにある他の作品の一部となって、より壮大かつ有機的な空間を作っている。これは、個々のアート作品に劣らない、強烈なインパクトを作り出している。

実生活や自然界を映し出すような体験を通じて、新たな価値観を提示することは、チームラボが抱く野望のひとつです。「teamLab SuperNature Macao」に出展された「Massless Clouds Between Sculpture and Life(質量のない雲、彫刻と生命の間)」にも見られるように、彼らが示唆するメタファーと現実的な体験は、互いに調和しながら共存しています。

「このアートでは、まるで質量の概念を超えるかのように、巨大な雲が空間内の床と天井の間に浮かんでいます。人々はこの雲の中に体を投げ出すことで、アートワークと自分自身の境界を曖昧にすることができるのです。」と猪子氏は語ります。「浮かんでいる雲をかき分けても、雲はまるで生き物のように元の姿に戻ります。しかし、生物と同じように雲が自己組織化できる範囲を超えて破壊されると、雲は崩壊してしまいます」

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チームラボは、日常における光と影を捉えながら、未来の可能性と彼らのアーティストとしての責任を模索しています。

「知的なレンズを通して世界を眺めると、実に多くの問題で溢れかえっています。そして解決できない問題に直面すると、ただ絶望を感じるばかりの人もいます。この時代、少なくともアーティストにとってより重要なことは、人間の理想主義的な部分を探してそれを肯定し、未来へのアイデアを示すことだと私たちは考えています。」と猪子氏。「今すぐ解決できない問題もあります。しかし私たちにできるのは、人類の長い歴史の中に見つかる様々なヒントをつなぎ合わせ、もう一度理想的な世界を創造できる可能性があると示すことです。世界を批判するよりも、世界を創造することのほうが重要だと考えています。」

将来に何が待ち受けていようとも、チームラボのようなクリエイターたちは常に人間の本質を模索し、様々な障壁を打ち破る新しい方法を発見し続けることでしょう。