不確実なことが増えている時代において、人々にインスパイアを与えることは、社会の結束において重要な役割を果たします。彼らのサクセスストーリーから、アイディアとモチベーションの両方を同時に得ることができます。ファッション写真のレジェンドであるエレン・フォン・アンワースは、そのような並外れた個性の持ち主の一人です。ドイツのフランクフルト出身である彼女は、何十年もの間、彼女を象徴する独特なスタイルで、アート・メディアを印象付けてきました。
モデルから最大限の表現力を引き出す彼女の能力は伝説的で、安心感を与える方法で、彼らを穏やかに導きます。時として、撮影終了した直後に出てきたテーマがあったりもします。そして彼女は、まさにその瞬間をとらえるのです。
また、フォン・アンワースはレンズの向こうとこちら側の両方に精通しています。彼女自身、10年間モデルとして活動してきました。この経験が写真家としてのキャリアの基礎を築いています。
エレン・フォン・アンワースが世界的に認められるようになったのは、1989年のクラウディア・シファーとのGuessのキャンペーンを通じてでした。今や、フォン・アンワースの作品は、豪華な写真集の棚を埋めるほどです。一方で、ストックホルム写真博物館の回顧展「Devotion! 30 Years of Photographing Women(情熱!女性を撮影した30年)」や、ニューヨーク写真博物館のオープン時の展示など、彼女のアートと写真は多くの美術館で高い評価を受けました。
このインタビューでは、 エレン・フォン・アンワースのリーダーシップと内面の強さ、自立と責任感について、そして彼女のインスピレーションの源について語っています。
フォン・アンワースさん、あなたはご自身で非常に個性的な世界観を持っていると感じていますか?写真家としてのあなたと他の人との違いは何ですか?
誰もが独自の視点を持っています。私の視点がみんなの視点と100%違っているとは思いません。しかし、私には写真家としての目があります。そして状況、瞬間、美しい光、表情、動きを捉えたいという衝動があります。それは私の頭の中にあるアイディアを実現したいという願望でもあります。クリエイティブチームと演者とでそれを形作り、1枚に収めるのです。したがって写真家の目は、心と実際の目が混ざり合っています。
原動力は何ですか?
いつも、私は人、そしてストーリーに魅了されています。何よりも、私がカメラに手を伸ばして毎日写真を撮るモチベーションは、出会った人々や私を元気づけてくれる人々そのものです。それは私が伝えたいストーリーでもあり、現実の生活にインスパイアされるだけでなく、映画や絵画からも影響を受けています。写真家として、私は過去、現在、そして未来の間を移動することができます。


あなたの目標は何ですか?
私の目標は、人々に刺激を与え、彼らに喜びを与えたり、感情を引き起こしたりすることです。私が経験したことの視覚的な証言として、それらが未来の世代のために保存されるように、私は人生の瞬間を永続させたいのです。
幼少期の経験がどのように感性に影響しましたか?中でもサーカスでの時間はどのような影響力がありましたか?
子供の頃、私はお姫様になることを夢見ていました。ふんわりとした布に身を包み、家の中で踊りました。ですが周りのみんなはお姫様よりもピエロのほうが上手にできているよ、というのです。がっかりでした。しかし、当時私はそれが後の人生で現実になるとは思いもしませんでした。学校を卒業して間もなく、サーカスが町にやってきました。これはとても素晴らしい経験でした。公演を見た後、私は監督のところへ行き、サーカスに参加し仕事をして公演できるかどうか尋ねました。彼は私を上から下まで見て、「明日から始められるよ!」と言いました。それは、ピエロとしてではなく、サーカスの少女という重要な役割でした。サーカスではバイエルンの山の中のコミュニティでヒッピーとして生活したこともありました。この経験は私の創造プロセスにおいて大きな役割を果たしたことは言うまでもありません。
アーティストとしての個性を伸ばすことにおいて最も重要な要素は何ですか?
私のアーティストとしてのキャリアは旅です。私は常に世界中を旅し、素晴らしい人々と出会っています。私がこのように自分の好きなことで生活することができることは、とても幸せであり、感謝しています。
私の人生の中にもターニング・ポイントがいくつかありました。特に私の心に残っているのは、クラウディア・シファーとのGuessのキャンペーンです。つい最近、美術館での展示会も行われました。スウェーデンのストックホルムにある写真博物館の回顧展「Devotion! 30 Years of Photographing Women(情熱!女性を写す30年)」、そして、その後ニューヨークの写真博物館オープン時の展示です。
人としての個性を伸ばすために最も重要な要素は何ですか?
私は一個人としての人生とアーティストとしての人生を区別していません。たしかに私は有名人ですが、私には私生活もあります。私は2つを分離しようとしていたこともありましたが、私は常に創造的で、自分のプロジェクトについて常に考えています。私が自分らしくあるために重要な役割を果たしているのは私の家族です。
モデルとしての経験は、写真家としてのスタイルに影響を与えましたか?どのようなことに気をつけて現場を監督し、女性を撮影していますか?
私もモデル業を10年間していたので、レンズのその向こう側でも、たくさんの撮影や制作過程を見てきました。私はとても明るくて、いつも自分の個性を見せていました。私にとって最大のフラストレーションだったのは、立ち止まり、ポーズを取るときに無表情であるように言われたことです。自分で写真を撮り始めたとき、人々の個性、表現力、自尊心、美しさをはっきりと強調したいと思いました。私の目を通して、世界が被写体を違う形で見えるようにするという考えをもっていました。写真から人生を飛び出させたかったのです。私が女性を撮影するとき、その考えが常に最優先されます。彼らが自分らしくあり、その過程で楽しい時間を過ごせていると感じてほしいのです。それによって彼らは、モノではなく人間として見られるようになるのです。
キャリアを育むなかで、選択の自由と自立はどれほど重要でしたか?
私はキャリアを通して常に自立しています。インターネットのおかげで、私のようなクリエイティブな人々が、自分の作品を共有し、アーティストと観客を直接つなぐプラットフォームとコミュニティを簡単に作成できるようになりました。ソーシャルメディアを使って自分の作品をアピールできてとてもうれしいです。
2018年には、「Ellen von Unwerth’s VON」という自分の雑誌も立ち上げました。これは、私が撮影したストーリーを、より大きなメディアで起こる圧力や検閲を受けずに、人々と共有する機会を与えてくれました。高級志向のメディアやビッグブランドと一緒に仕事をすることも素晴らしいことだと思っています。しかし、それと関係なく、自分のプロジェクトを進めることができるのです。
一番恐れていることは?
クローンです!テクノロジーと科学が避けて通れない可能性のあるので少し恐れています。人の個性が最大の強みだからです。
落ち込んだ日やスランプからどう立ち直りますか?
常にグラスに水が「半分入っていないこと」ではなく、「半分入っていること」に目を向けることです。
「人生の瞬間を後世に残すために、その瞬間を永続させたいと思っています。自分が体験したことの視覚的な証言として」
アンチを無視して、本能と創造的なビジョンだけを追った経験はありますか?
自由は非常に重要な資産であり、アーティストとして、しっかりと保持しなければなりません。私を引きずり下ろしたり、スタイルを変えようとしたり、どの方向に進むべきかアドバイスをしてキャリアの方向を変えようとする人々に会ったことはあります。彼らへの対処法は、自分のやりたいことに忠実であることが大切だと思います。そして相手のスタイルにも同様に尊重する。流行はやって来ては去っていきます。みんなの好みに合っていなくても、心に耳を傾け、心を動かさなければなりません。
成功の基礎を形成する思考のパターンはありますか?
「成功」の意味は人によって異なると思います。私にとって、成功とは「自分の才能を認め、それを生業とし、その価値を認められる」ということです。私がこれを行う立場にあるのは、私のリーダーシップスキル(前向きで心を広く持ち、創造的な考え方)と多くの努力です。
特に困難な状況を克服しなければならないプロジェクトはありましたか?
私は非常に特殊なスタイルを持っています。顧客はまさにそれを望んで、私のもとにやってきます。私のスタイルとは違うものを求められることはめったにありません。難しいと思ったときは、それは挑戦だと考えるようにしています。時々、その結果が驚くべきものであり、私の視点を変え、目を覚まさせてくれることもあります。
撮影のためのキャスティングも私にとって非常に重要です。私の波長と本当に合う人が必要です。言語は関係ありません。相性が良くないと、良い写真を撮るのが難しくなります。必要であれば、とっておきの物を袖から取り出します。シャンパン1杯が素晴らしい仕事をするんです。
社会的に何を実現したいですか?
私の写真はよく、生き生きとしていて人々に喜びを与えると言われます。私の視点、つまり女性の視点を表現して人々に喜びを与えることができれば、それが社会へ与えている影響だと思います。
女性の社会的地位の向上がますます重要になっています。人々は、私の仕事が、女性とその女性らしさ、ユニークさ、強さ、個性を捉えることによって、社会に影響を与えることができると考えています。
誰があなたに影響を与えていますか?
いろいろなことから刺激を受けています。映画、人、音楽、パーティー、演劇、絵画、さらには夢など、日々の生活から多くのアイディアと刺激を得ています。私のお気に入りのヘルムート・ニュートンやジャック=アンリ・ラルティーグといった有名な写真家からも影響を受けています。デザイナーやデザイナー服、彼らが主催するファッションショーなどは特に刺激的です。デザイナーの世界の本質をとらえることができれば、とても豊かなストーリーが生まれます。私は30年以上にわたってファッションを撮影してきましたが、素晴らしい服はいくらあっても飽きません!
写真/ビデオ:CNN、著者:マルクス・レーブレン