中田英寿が日本を旅する[佐賀~福岡]

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中田英寿が、世界に誇る日本の本当にいいものとその作り手を巡る旅、‘にほんもの’。 現地に行かなければわからない、素晴らしい日本をご紹介します。

にほんもの

今回のテーマは日本茶。
もともとゴールデンウィークに嬉野茶で知られる佐賀を、5月末には八女茶で知られる福岡を巡る予定だった。だが佐賀を旅している間に、中田が予定の変更を決断した。

「生活のなかで使ってこそ器」と語る中里太亀さん。気取らず、飾らず、それでいて日常に色を与えてくれるような器に心を奪われる。

旅のなかでは茶関係以外にもさまざまなスポットを巡り、多くの人にあう。中田の好奇心がおもむくまま、範囲を拡大した2回目の旅がスタートした。

2度目の佐賀で訪ねた場所のひとつが、唐津焼の人間国宝にもなった12代太郎右衛門氏の5男である中里隆さんが開いた隆太窯だ。あいにく隆氏は訪米中だったが、息子の太亀さんと孫の健太さんがロクロを回しているところに立ち会うことができた。

唐津焼の名窯、隆太窯を訪ねる。黙々とロクロをまわし、器を作り続ける中里太亀さん(奥)と健太さん(手前)親子。親子三代でロクロに並ぶこともあるという。

「器は飾って眺めるものではありません。生活のなかで使われてこそ価値があると思っています」(中里太亀さん)
「私もいろいろなところを巡ってきてそう感じています。生活のなかで育まれた文化だからこそ、長く残るものになるんでしょうね」(中田)

有田焼、伊万里焼など佐賀は磁器の名産地として知られているが、唐津焼は土の素朴な味わいを残す陶器だ。話しながらも太亀さんの手は、止まることがない。息子と二人並び、その両手を丁寧に動かしながら、器を形作っていく。隆氏と三代並んで作業をすることもあるという。文化が受け継がれていく場に立ち会い、改めて佐賀の文化の奥深さを感じることになった。

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そして旅は、福岡へ。目指したのは八女茶の里、八女市星野村だ。深い山に囲まれたこの地域は、人口3,000人あまりの小さな村ながら、古くから茶の名産地として知られている。特に有名なのは高級茶としてしられる「玉露」。収穫期の2〜3週間前から畑全体に稲わらで被覆をして日差しを遮ることで、茶葉のなかの旨みや香りを高めるこの製法は、100年以上前からこの地域で作られているという。

「この地域では、僕らが子どものころ“お茶摘み休み”というのがあって、5月になると小学校が2~3日休みになって、実家が茶の生産者でなくともみんな茶畑に出て、茶摘みを手伝っていたんです」

「茶師十段」の称号を持つ星野製茶園の山口真也さん。星野製茶園は抹茶をつかったチョコレートなど、新しい取り組みにも挑戦している。

そう語るのは、玉露の生産で知られる星野製茶園の山口真也さん。この地で生まれ育った山口さんは、「茶師十段」の称号を持つ茶のプロフェッショナルだ。

「標高の高い山間部にあり、寒暖の差が大きいことでおいしいお茶を育むことができます。通常の茶栽培では初摘みから二番茶、三番茶と摘んでいきますが、玉露は年1回だけ。しかもほとんどが手摘みです。手間ひまがかかるぶん、価格はどうしても高くなりますが、色、風味などすべてが他のお茶とは異なります」(山口さん)

実際に玉露の畑を訪ねると、まさに茶摘みの真っ最中。わらでつくられた覆いで日差しを遮られた畑では、熟練の“茶摘み娘”たちが、丁寧に茶葉を手摘みしていた。
「品質に特化するため、自然仕立てという茶の樹本来の仕立て方をして、人手で丁寧に“しごき摘み”をします。機械摘みの何倍もの時間がかかります。」
(山口さん)

この選りすぐりの茶葉で作られるのが玉露。50度ほどの温めの湯で2〜3分間かけて淹れるのが正しい楽しみ方だ。少量を口に含んだだけで、しっかりとした甘みと旨みが伝わってくる。濃厚で、雑味はまったくない。まるで茶の100%ジュースを飲んでいるかのよう。

8グラム1万円(小売価格)という超高値で取引されたこともあるという宮原さんの玉露。ごくごくと飲むのではなく、少量をゆっくり味わうのが玉露の楽しみ方だ。

「贅沢な味わいです。食事などにあわせる飲み物というより、お茶だけで、お茶の本来の美味しさを楽しむのが玉露なんですね」(中田)

美味しい玉露を味わい、星野村をさらに奥へ。曲がりくねった道を抜けて到着したのが、全国茶品評会で3度日本一を受賞した宮原義昭さんのご自宅。広大な茶畑を想像していたのだが、宮原さんの畑は自宅の目の前にある小さな面積だけだ。ここで作られる玉露は、製品としてわずか4キロ弱。だが過去には8グラムで小売価格が1万円という超高値で取り引きされたこともあるのだという。

「お茶の味を決めるのは土と光。ここにはもともといい土がありました。そこで育った茶葉を、光を調整して旨みを引き出してあげる。遮光率は最初94%で、最終的には99%まで高めていきます」(宮原さん)

のんびりと玄関先で茶飲み話。目の前の茶畑を見ながら過ごすゆったりとした時間は、玉露にも負けないくらいに贅沢だ。

玄関前で畑を見ながらのんびりと宮原さんご夫妻と“茶飲み話”。すでに畑の茶葉は収穫が終わっている。茶農家としては、いちばんゆったりとした時期だという。奥様の幸子さんが淹れてくれるお茶は、さすがに極上の味わい。

「二煎、三煎になってもおいしい。一滴一滴まで茶の旨みが凝縮されている感じがします」(中田)

茶の話、酒の話、旅の話……玉露の第一人者との茶飲み話は、日が傾くまで止まることはなかった。茶も器も食も酒もすべてが繋がっている。豊かな味わいの茶は日本の生活に欠かすことのできない潤滑油なのだ。中田が旅のテーマに茶を選んだ理由があらためてわかった気がした。

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