

想像以上にパワフルでスピード感ある、
M5 Competitionのドライビング。
僕は、車が趣味なので、今回のお話をいただいて、車種がM5 Competition だとわかってから、自分なりにM5という車を理解しようと相当調べましたし、動画を見たりしてイメトレもしてきました。だから、知識から予想できた部分と、予想できなかった部分があって、そこがとても楽しい体験になりました。
一番の驚きは、ぱっと見た感じは、エレガントな大人の佇まいで、伝統的なBMWのデザインを引き継いでいるんですけど、搭載しているエンジンが完全にモンスターだったことです。4.4LV8ツインターボエンジンはだてじゃないですね。ちょっと踏んだだけで、予想以上にギュンって進むんですけど、車体がしっかりしているから、スポーツタイプの車で感じることがある、前進する際の歪み感が一切なくて、どんなに踏み込んでも揺らがない安定性、安心感があるなと思いました。だから、運転していてこの上ないほど快適で、すごく落ち着いてるのに、びっくりするほど速かったです。「なんだ、この車は」と、もう最高に楽しかったですね。


クルマづくりにも共通する、
プロセスの魅力。
僕が車を好きになったのは、絵画制作と車をリンクして考えるようになってからなんです。車に興味がなかった頃は、車の外側だけしか見ていませんでした。「かっこいいデザインだな」と。でもある時、内側、裏側にあるコンセプトや歴史に気が付いたんです。その時から車に対する見方が変わって、そこからはどんどん惹かれていきました。
具体的には、例えば、花の絵があったとしても、多くの人は「花」の表側のイメージ。つまり、「表面的な形態」への興味がほとんどかと思います。でも、その「描かれた花」の裏側には、絵が描かれるに至った作者のコンセプトや、絵画の歴史の引用、社会への接続が隠されています。絵画鑑賞の本当の面白さって、表側と裏側を両面から視ることなんです。これは、車づくりにも通じる部分があると思うんです。
BMWでいえば、象徴である「キドニーグリル」のように、伝統的に引き継いできたデザインとイメージがあって、それを時代に合わせて変化させていく一方で、車としての機能もあらゆる可能性を追求していますよね。エンジン、タイヤ、シャーシ、内部システムなどの開発と改良、次々と現れる新しい技術との融合、これらがすべて一体化されて“車”というひとつの形を成していること、この形を成すために考え尽くされていること、これは、絵を描くことと同じだなと思ったんです。
人生に欠かせない、
“静”と“動”の時間。
僕は仕事柄もありますが、絵を描いている時間は、ほとんどその場を動きません。内面では様々な思いが激しく入り混じっていますが、物理的には“静”の状態です。一方、車に乗ると、移動による景色の変化、非日常のスピード感、車との一体感を感じることができ、テンションも上がりますし物理的にも“動”の状態になります。この緩急は、僕の人生にとって欠かせないものです。だから、絵を描く時間も車に乗る時間も、自分にとってはどちらもとても尊い時間なんです。
生涯に渡って探し続ける、
駆けぬける歓び。
BMWのキャッチコピー「駆けぬける歓び」を、僕はまだ人生で感じたことがありません。なぜなら、常に、そこに向かっている途中だからです。絵を描く生き方って、「今」良いなって思う作品ができても、次々に作りたいものが生まれてくる。きりがないんです。絵を描くことは、自分の生き様なので、満足してしまったら終わりなんです。たぶん、生涯に渡ってずっと考え続けないといけないんでしょうね。
一方で、車にはまさにダイレクトに“駆けぬける歓び”がある。だから、車が好きなんだと思います。人生で足りない「何か」を補ってくれているというか、非日常を気軽に体験させてくれるから、車こそが歓びの象徴かもしれないですね。


ドライブにも通ずる、
未知を追求する歓び。
僕は、画家として「見たことないものを作りたい」というのがモチベーションとなっています。僕は絵と車は、ある部分では、同じだと思っているので、“乗ったことがない車に乗ること”は、大きなモチベーションになります。つまり、“未知の体験ができる”という意味では同じなので、未知の体験を求めて作品を作っているし、未知の体験を求めて車に乗っている。だから、それを求めることが僕の歓びだと思います。
今回のM5の試乗は本当に楽しかったです。やっぱり、実際に乗らないとわからないこともたくさんありますね。最高でした。


プロフィール
画家・大庭大介さん
1981年、静岡県生まれ。光によって色彩が変化する特殊な絵の具や、自作の描画道具を用いて独自の方法論をもとに絵画作品を制作。大庭作品の特徴として、鑑賞者との関係によって、描かれたイメージや色彩が大きく移り変わる作品や、独楽が偶然の軌跡を描き出す作品、隕石から抽出した絵の具を作品に用いるシリーズなど、独創的なアイディアと手法で多角的にセカイを創造する。
今回訪れた場所
大庭大介さんの制作スタジオ(京都府)
URL:https://www.daisukeohba.com/
acca studio
住所:東京都墨田区東駒形3-19-13
URL:https://acca-studio.com/
独創的なアイディアで多角的なセカイを創造/画家 大庭大介
『Go NEXT ―未来へ駆けぬける―』【TBS】
本編の視聴はこちら