次世代を切り開くテクノロジーの使い手が、ものづくりの担い手に会いに行く。今回は、日本初のバーチャルヒューマンimmaさんがBMW i4 M50を走らせ、ガラス作家・笹川健一さんの活動拠点である京都・奈良を訪ねた。


京都から奈良へドライブ。今回ガラス作家 笹川さんの工房を訪ねる
バーチャルヒューマンimmaさんとは?
ピンクのボブスタイルが特徴的なアジア初のバーチャルヒューマン。2018年のデビュー以来、そのリアルとバーチャルの境界線を超えた唯一無二の存在が世界中を騒然とさせ、これまでに世界50カ国、5000以上のメディアにて話題になった。
現在Instagram(www.instagram.com/imma.gram)のフォロワーは39万人、TikTokは45万人を超え、他のSNSでの総合計数は100万フォロワーに達するなど、アジアを代表するバーチャルヒューマンに成長。
2021年には「東京2020パラリンピック」の閉会式にも登場した。
楽しみにしていた笹川さんの工房でガラス制作を見学
青みがかったグレーのニュアンスが美しい、笹川さんのガラス。使用済みの蛍光灯をリサイクルした再生ガラスを原料に、ニッケルやコバルト、銅などを加えて独自の色味を生み出している。制作過程で生じる小さな気泡も特徴。雨の日の光を思わせるような薄く繊細なガラスは、プロダクトの機能美と工芸の世界観を備えた唯一無二の個性を感じさせる。




「役立つだけでなく、使う人の心に作用する
『道具』としてのガラス作品を」――笹川さん
もともとプロダクトデザインに興味があったこともあり、自分のうつわが道具として使えて、人の生活の中にちゃんと収めることを大事にしています。ガラスは一度壊れると元には戻らない素材で、不可逆的な美しさがあります。存在はしているけれど透明で、光や使う人、中に入れるものによっても印象が変わります。
自然のままでは素材でしかないものに人の手を加えてガラスをつくり、それをかたちにしているからには、人に手渡して生活の中で使ってもらい、気づきを与える存在になってほしい。
たとえば、グラスに水を入れて飲む前にテーブルの上をきれいにするとか、「お皿にどんな料理を盛り付けようか」と考える時間を楽しむとか。僕の作品が、日常の中でそういうタイミングをもつきっかけになるといいなと思っています。
自然から着想を得たものづくりに挑んでみたい――immaさん




制作工程を拝見する中でいちばん感銘を受けたのは、再生ガラスのもつ特徴を生かしている点でした。自然に入る気泡をあえて生地の特徴として残すことが、つくり込まれた人工物ではないアートな側面を強めていると感じます。
私は環境問題に興味があって、海で集めたごみでドレスをつくったことがあります。洋服のデザインもしていますが、洋服の生地にもいろいろな違いがあって、耐久性、デザイン的に、この服をつくるときはこの生地じゃないとって感じで生地選びをしていたのですが、あえて苦手な生地での工夫にも挑戦できそうだと思いました。もう、いますぐにでも新しい洋服をつくりたい気分です(笑)!


笹川さんのインスピレーションを受ける場所、
古都を感じるスポットを探索
JR・近鉄天理駅前の複合施設「コフフン」。近未来的な見た目ながら、モチーフは奈良のシンボルのひとつであり、市民に馴染み深い古墳をアイコンにしている。デザインはnendoの佐藤オオキさん。野外ステージやトランポリンといった遊具、カフェなどの機能をもつ多目的なスペースで、老若男女が思い思いに憩いの場として利用している。
BMW i4の走りを体感しに、奈良奥山ドライブウェイへ
若草山、春日山、高円山を縦断するように伸びる「奈良奥山ドライブウェイ」。3つのコースがあり、「奈良奥山コース」では、世界遺産である春日山原始林が楽しめる。自然豊かなスポットが点在する古都奈良の絶景ドライブには、完全電気自動車でクリーンな走りのBMW i4がよく似合う。
immaさんは「走りがスムーズで、車に乗っている感覚がないというか。運転支援機能もあるので、i4なら疲れ知らずで日本中を旅できそう!」と新世代の完全電気自動車のパフォーマンスを堪能した。




締めくくりは、夕陽色に染まるグラスを片手に奈良市街を眺めて
奈良の市街や夕陽を一望できる絶景スポットで、車でも徒歩でも山頂にアクセスできる。自然や動物が好きな笹川さんにとって、若草山は制作で飽和状態になった頭をリセットし、心を穏やかにしてくれるスポットのひとつ。下界ほど人馴れしていない頂上の鹿にも癒される。カメラを持ち歩き、いい光を見つけると写真に収めることもあるという。
「夕陽をバックに若草山の頂上から眺める奈良の街並みが美しく、笹川さんの作品ともマッチしていました」と、今回の旅を振り返るimmaさん。この何気ないドライブの時間も、ものづくりのインスピレーションになっていくのだろう。


プロフィール
ガラス作家・笹川健一さん
1981年、神奈川県生まれ。多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム卒業。同大学大学院修了後、金沢卯辰山工芸工房にて研修。現在は、京都府の工房で制作を行う。展示情報などはインスタグラムで確認できる。
<クレジット>
text=Akiko Yamamoto
image director=Daisuke Abe(bird and insect ltd.)
photo=KAN(bird and insect ltd.)
movie director/editor=Shuma(bird and insect ltd.)
cinematographer=Ryusuke Honda(bird and insect ltd.)
music=Go Hiyama (echoes breath)
produce=Discover Japan Inc.
今回訪れた場所
笹川健一さん工房
住所:非公開
www.instagram.com/k.sasakawa.glass
天理駅前広場コフフン
住所:奈良県天理市川原城町803
https://cofufun.com
奈良奥山ドライブウェイ
住所:奈良県奈良市雑司町~白毫寺町
https://shinwaka.com
若草山
住所:奈良県奈良市春日野町