浮くように自然にスピードに乗る感じがとても印象的なBMW iX3。
実は、前々からEVに興味があったんです。数年前に免許を取ってから、まだ自分の車を購入していないので、おぼろげながらに、「最初に買う車は、きっとEVだろうな」と思っていたので、初のEV試乗をとても楽しみにしていました。実際、すごい楽しかったですし、とても貴重な体験でしたね。
iX3 M Sport(カーボンブラック)は、あらゆる操作がとてもスムーズで、乗りやすく楽しい1台でした。EVが、どのように加速するのか、まったくイメージできていなかったんですが、浮くように自然にスピードに乗る感じはとても印象的でしたね。「今の時代の最先端の車はこういう感じなんだな」と全身で感じながらドライブすることができました。


今の時代は、ひとつのデザインを考えるにしても、ライフスタイルを提案するにしても、環境のことを考えなければいけない時代です。むしろ、環境をアイディアの出発点にすることが当たり前と言っていいかもしれません。そういう時代感の中で、iX3は、次の車のスタンダードになる“王道”が表現されたEVだと感じました。
サイズ感も東京の街に合っていて、大きすぎず小さすぎず運転しやすかったですし、デザインのボリューム感もバランスが良くていいなと思いました。EV=次世代の車というイメージそのままに、未来を強調した車にデザインするのではなく、“今の時代に合った車”としてデザインされているなと思いました。


だから、自分が生きているライフスタイルの延長線上に、自然にiX3がある日常を想像できました。BMWならではのラグジュアリー感があるたたずまいに、今のスタンダードをうまく表現できているところがとても気に入りました。
もし、自分がiX3に乗るなら、「何色がいいかな?」と考えていたのですが、車を選ぶならそのブランドで伝統とされている色にしたいなとずっと思っていたんですね。BMWだとアルピンホワイトですかね?ちなみに、うちの父がBMWに乗っていて、赤だったので、個人的に赤がかなり刷り込まれてはいますが(笑)。昔と比べて、色んな色が選べるというのも嬉しいポイントですよね。


過去を振り返ることはあまりしない。
常に前を見て走り続けてきた日々。
デザイナーになって16年になりますが、過去を振り返ることはあまりしないんです。声をかけていただいたお仕事を自分らしく全力で臨んだことで、次の道が拓けてきたことの繰り返しだったので、常に前を見て走り続けてきた日々でした。
ワンシーンを挙げるとしたら、リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式は、“新しい景色”でした。自分のクリエーションをお客様に見ていただいて心を動かすということをずっとやってきた中で、一度にあれほどの多くの人の目に触れた機会はなかったので、感動でした。あの瞬間、全世界の55億人が私のクリエーションを見てくれたわけですから。


あの時、ファッションデザイナーとして、多くの人に見てもらうクリエーションも重要だと考えるようになりました。プロジェクトとして動いて、全員で同じテーマを実現するために進んでいくことは、新鮮で感動的なものづくり体験でした。
あのことがきっかけになって、今、ファミリーマートのコンビニエンスウェアをディレクションさせていただくようになりました。ファミリーマートって年間約55億人が利用するらしいんですね。単純な比較はできませんが、オリンピックの時と同じ規模の人に自分のクリエーションを見ていただけるのは、とても幸せな機会です。


規模の大小でモチベーションは変わらないですし、むしろ、同じ熱量やこだわりを持って臨んでいるので、広く見ていただけるファミリーマートの仕事、自分の世界観と向き合う自分のブランド「FACETASM」は、まったく同じスタンスでやっています。こういう二軸を持たせてもらえていることが、とても幸せだと思いますし、クリエイターとしての充実を感じます。
相手の想像の先を提案したり、一緒に見たことがない景色を探したりすることを、私はファッションを通して行っていますが、これはBMWも同じだなと思いました。ライフスタイルや人生に彩りをくわえるという、車の役割はますます重要になると思います。今回、抜けるような青空の下をEVで走って、“排気ガスのない社会”の雰囲気を感じることができたのはとても貴重な体験でした。これから先、より環境発想で作られていく新しい景色の中でも、BMWと一緒に何かできたらなと思いました。


自分が感動できるクリエーションをすること、
それを世界に発信していくこと。
人の心を動かしたいという思いが、ものづくりのモチベーションですね。ファッションに感動したことがきっかけで今の仕事をしているので、同じように感動を伝えられるよう、デザインに気持ちを込めて、何か感じてもらえるものを作るという想いで日々、クリエーションをしています。
そのためには、まずは自分が感動できるクリエーションをすること、それを世界に発信していくことを大切にしています。そうすることで、感動したことが自分に戻ってくるので、その繰り返しで前進しているイメージですね。


FREUDEとは「普段と違う視点で繊細な美しさや感動を吸収できる時間」。
去年、沖縄の電波も届かないような森の奥で二日間撮影をしたんですね。森って何もないようで、実は情報量がとても多くて、都会では得られないインプットができた贅沢な時間でした。
そういう空間や場所に行くことはとても大切ですね。ふと、自分が無になれたり、普段と違う視点で繊細な美しさや感動を吸収できる時間は、クリエイターにとって歓びに満ちたラグジュアリーな時間だと思います。


プロフィール
ファッションデザイナー・落合宏理さん
1977年東京都生まれ。2007年に自身のブランド「FACETASM(ファセッタズム)」をスタート。
2015年、ジョルジオ・アルマーニが推進する若手支援プロジェクトにおいて、アジアのブランドとして初めて選出され、ミラノでコレクションを発表。
2016年には第三回LVMH Young Fashion Designers Prizeにて、日本人初のファイナリストに選出される。また「毎日ファッション大賞」では大賞を受賞。
同年開催のリオオリンピック・パラリンピック競技大会閉会式「フラッグ ハンドオーバーセレモニー」では衣装制作を手掛ける。
2021年からはファミリーマートの「Convenience Wear」を手がけるなど、国内外で活躍の場を広げている。
今回訪れた場所
FACETASM aoyama
住所:東京都港区南青山5-4-30
https://store.facetasm.jp/
和敬塾本館
住所:東京都文京区目白台1-21-2
https://www.wakei.org/honkan/
ファッションデザイナー・落合宏理さん『FREUDE,forever -先駆者が見た景色-』【TBS】
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