30歳のとき、初めて自分のお金で買った車が1970年代を代表するスポーツセダンの1つであるBMW「初代3シリーズ」。その後、モータースポーツに参戦できるほど高機能な「初代M5」に乗り換え、2年前まで乗っていたという。
「もともとドイツ車が好きでした。そのなかでも、コックピットのようなインパネで、スポーツカークラスの機能を持つBMWに惹かれていました。とにかく速くて、運転欲をそそるところが好きだったんでしょうね。最初に乗っていた初代3シリーズはチューニングメーカー・ハルトゲ仕様でタコ足のエキマニが印象的でした」
今回の車の前身となる「BMW X2」の初代がリリースされたのは、2018年。BMWは世間でいうSUVを、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)、またクーペタイプをSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼ぶ。“アクティビティ”という言葉の通り、利便性だけでなく、ロマンを抱く車であることを目指している。
今回の二代目においても、SACの考え方を継承し、より洗練された美しさを追求している。三部さんが愛用していたのは旧車になるが、だからこそ、今回はフラットに向き合えたという。
日が暮れ、撮影場所が新宿のネオン街に移る。
「BMWの顔とも言える「キドニー・グリル」。縁が光って浮かび上がる様がとても美しい。闇夜に光った方が分かりやすいのだろうけど、僕はネオンの中で光っている方が東京らしくて好きですね」
「キドニー・グリル」に象徴される前面のエクステリアはBMWの顔つきの良さを構成する極めて大事な部分。三部さんが指すキドニー・グリルの周囲をライトアップするアイコニック・グロー、そして立体的なプレスラインの入ったボンネットと、BMWの特徴である「丸目4灯」のイメージを残しながら最新のデザイン・ナゲージに変更されている。
どこをどう切り取っても、都会に美しく映える1台は、新宿の夜に溶け込みながらも、たしかな存在感を放っていた。
PROFILE
さんべ・まさひろ/1983年、東京都生まれ。自身のパーソナルワークと並行して、美術、建築に加え、音楽、ファッションの分野においてもコミッションワークを手がける。東京オペラシティ アートギャラリーにて2024年1月17日から3月24日まで開催された展覧会「ガラスの器と静物画」が7月13日から熊本市現代美術館にて巡回予定。