ゲームという名のアクション・ムービー

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「Need for Speed Payback」とデジタル・ツインのBMW M5:

究極のレースゲームである「Need for Speed」シリーズでは、バーチャル・マシンの車体後方からの視点でプレイします。それはBMW M5をセレクトした時においても同様です。いかにしてこの世界が作り上げられるのか、開発スタジオへと潜入してみましょう。

2020/4/2

スウェーデン・イェーテボリ、クヴァーンベルクス通り2番地にある建物のロビーへと足を踏み入れると、そこには、まるでホテルのバーを連想させるような空間が広がっています。北欧スタイルで統一された室内には、ウッドとメタルで装飾されたカウンターが配され、「GHOST」のロゴも目を引きます。就業後には、実際のバーのようにここでドリンクを愉しむ人もいます。しかし、クリエイティブな感覚を刺激するこの美しい空間こそ、世界で最も人気のあるレースゲームのひとつ「Need for Speed」のクリエイティブ・ハブなのです。「GHOST GAMES」のスタジオへ、ようこそ。

伝統を誇るレースゲーム

「Need for Speed」誕生の地:イェーテボリの「GHOST GAMES」開発スタジオ

「Need for Speed」は、ゲーム業界においては長い歴史を持つレースゲームです。23年前の第1作目発売以来、そのシリーズは現在に至るまで24作を数えます。開発を担当する「GHOST GAMES」は、世界の5大ゲーム企業の一つであるEA(エレクトロニック・アーツ)の傘下にあります。

「Need for Speed Payback」のようなゲームの開発時間は非常に長く、数百人単位の人々が関わるプロジェクトになります。「ゲームのベースとなるアイデアとドラフトを完成されたものへと仕上げるために、約2年半もの時間が費やされます」と、「Need for Speed」シリーズのシニア・ブランド・マネージャー、ウィル・グラハム氏は語ります。

ビデオゲームがティーンエイジャーのものだった時代は、すでに遠く過ぎ去りました。現在、プレイヤーの平均年齢は35歳です。ドイツだけに限定しても、すべてのプレイヤーのうちの4分の1は50歳以上の人々が占めます。「今やゲームは、すべての世代のためのものになっているのです」とグラハム氏は言います。 

子どもの頃に「Need for Speed」に夢中になった世代がいる。彼らは今、自分の子どもたちと「Need for Speed」を競い、そして愉しんでいる。なんと素晴らしいことだろうか!
ウィル・グラハム

「Need for Speed」シニア・ブランド・マネジャー

NFS:80台ものマシンを意のままに駆る歓び。

「Need for Speed」においては、ラップタイムはそれほど重要ではありません。様々なカー・チェイスが詰め込まれたこのゲームは、まるでプレイヤーが主役を演じるアクション映画のようです。とりわけ、クルマをメインテナンスしたり、自分好みにカスタマイズしたりすることは、ゲームの愉しみをより濃厚なものにしてくれます。

「Need for Speed」の第1作では、9台のなかから自分のマシンを選択することができました。今では、細部に至るまで実車を忠実にトレースした80台のマシンが選択できます。車両のグラフィック・デザインは、ハイジ・クリンクとブリン・アルバンが担当しています。選択可能なマシンのなかにはBMW M5に加え、BMW M4 GTSやBMW X6 M、BMW M3といったモデルが含まれています。

ゲーム内のクルマを非常にリアルなグラフィックで再現するために、PS4やXboxなどハードウェアの性能が非常に大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。「つまり私は、完璧主義者とのみ仕事をしているのです」と、ハイジ・クリンクは笑います。カナダ出身の彼は、「Need for Speed」シリーズにおけるトップ・ビークル・アーティストであり、そのグラフィック・デザインの精度に関しては誰よりも妥協を許さない、究極の完璧主義者です。

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「GHOST GAMES」開発スタジオにおける、「Need for Speed」プログラマーの仕事。
「GHOST GAMES」開発スタジオにおける、「Need for Speed」プログラマーの仕事。
「Need for Speed」のスタートライン:スウェーデンのイェーテボリにある開発スタジオの様子を覗いてみましょう。
デザイナーズ・ホテルを彷彿とさせる、「Need for Speed」開発スタジオのクリエイティブ・ハブ。

レースゲームのためのデジタル・マシン

レースゲーム用の車両グラフィックを作成するには、6カ月もの時間を必要とします。そしてプログラマーやデザイナーは、必ずしも必要となるすべてのデータにアクセスできるとは限りません。実際のクルマを見ても、最後までわからない箇所もあったと言います。

「ゲームやクルマへの情熱は皆同じでも、「Need for Speed」シリーズにどのマシンが相応しいか、という点では意見も異なるのでは?」という問いに、グラハム氏は「そこが難しい点だね」とやや困った表情を浮かべます。「クルマに関する感覚は、人それぞれで千差万別です。ある何人かは、非常に高価なスーパー・スポーツカーこそこのゲームに登場させるべきだ、と言います。また別の何人かは、自分が最初に手に入れたクルマをぜひ登場させてほしい、と熱望します。「Need for Speed」においては、自分の手元にないマシンを画面のなかでバーチャルに“所有”し、走らせ、そして思い通りにカスタマイズすることができるからです」。

「Need for Speed」の最新作においては、女性ドライバーを含む3人のキャラクターが設定されています。プレイヤーは、そのキャラクターと同期しながらマリナ・ベイ・ブルーのBMW M5の後方に構え、猛然たるスタートを切ります。最高出力600psを誇るこのマシンを、他のレースゲームで駆ることはできません。息を呑む加速フィールとともにそのスピードがメーターに示され、スピーカーから臨場感あふれるエンジン・サウンドが響き渡る時、握りしめたコントローラーは手に滲む汗で濡れ、心が次第に高揚してゆくのがわかるでしょう。


ブリン・アルバンはBMW M5についてこう語ります。「ボンネットの下に収められたすべてのエレメントがテクノロジーと融合するこのマシンは、私たちのゲームに完璧にフィットします。M5はひと目で、パワーやドライビング・プレジャー、スポーツの歓びといったものを理解させてくれます」。

数値による実証

6カ月
車両のグラフィック・デザインに必要な期間。

2.5年
「Need for Speed」新シリーズの企画・構想から完成までに要する期間。

108,000,000,000ドル  
1,080億ドル
世界で1年間に販売されているビデオゲームの総額。

41%
アメリカのゲーム・プレイヤーにおける女性の割合。